演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第60回・2015年・横浜
 

急性腎傷害(AKI)~概念・診断・対策~

演題番号 : YW-20

花房 規男:1

1:東京大学医学部附属病院腎疾患総合医療学講座

 

ごくわずかなクレアチニンの上昇が不良な予後と関連することが示され,急性腎傷害(Acute Kidney Injury: AKI)という概念がひろく受け入れられてきている.AKIは,ICU患者をはじめとして頻度が高いこと,予後が不良であること,CKDや他臓器との連関がみられるなどの特徴がある.
2004年にADQIがRIFLE分類を提唱,その後,Acute Kidney Injury Networkにより2007年にAKIの定義がなされ,2012年にKDIGOによってガイドラインが発表され現在に至る.いずれの定義においても,血清Crの上昇,尿量を元にした診断・重症度分類が示されている.
実際の診療においては,まず腎前性,腎後性を除外することから始まる.また,腎代替療法の絶対適応の病態について評価を行う.腎前性の場合には,腎潅流量を適正化する.一方,腎後性の場合には,泌尿器科的に尿路を確保する.なお,腎前性と腎性の鑑別のためにはFENa,FEUNなどがよく用いられる.
腎性のAKIにおいては,腎臓機能自体を改善する治療はなく,血管内容量の適正化とともに,敗血症など背景因子が存在する場合には,その治療も行う.また,造影剤,抗生剤,NSAIDsなどさらなる腎毒性物質を回避しつつ,代謝的なサポートが行われる.
一方,絶対適応が存在する場合や,内科的管理が困難な場合には,腎代替療法が開始される.腎代替療法には,持続療法(continuous renal replacement therapy: CRRT)・間欠療法が存在するが,循環・呼吸に対してCRRTが有効である以外,一方を支持する明確なエビデンスは存在しない.なお,CRRTの治療量については,高用量の優位性は否定されつつある.
最後に,AKIでは予防も重要である.近年CKDに対してしばしば使用されるRAS阻害,利尿剤は,脱水下では腎機能の低下を来す.これらの薬剤を適切に中止するsick day ruleも予防に重要である.

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