演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第60回・2015年・横浜
 

リン管理の実際―食品、飲料からの無機リンを見直そう―

演題番号 : YW-12

宍戸 寛治:1

1:社会医療法人財団石心会川崎クリニック

 

近年、血清リン(P)濃度が高いとPTHの上昇だけでなく、血管石灰化が促進され、生命予後も不良となることが明らかとなり、CKD-MBDという概念が提唱された。透析患者の予後の改善にはCKD-MBDの治療が重要であり、2012年に改訂された日本透析医学会のガイドラインでは、Pは優先的に管理することが推奨されている。P管理の方法としては、1)透析によるP除去2)P摂取制限3)P吸着薬、が基本となるが、本講演では2)を中心に述べる。
透析患者のP制限はタンパク摂取量(g)×15mg以下(例えば、体重50kg、PCR1.2でタンパク摂取60g、Pは900mg以下となる)とされている。しかし、近年透析患者の低栄養が問題となっており、血清アルブミン値が低下するほど透析患者の死亡リスクは増大し、タンパク摂取量が少ないと死亡リスクが増大する。2008年Shinabergerらは透析患者3万人の解析で血清P濃度が低下してもタンパク摂取量が少ない患者群では死亡リスクが上昇したと報告している。血清P値を下げるために食事中のタンパク制限を行うと、そのリスクは血清P値が低下して得られる有益性を上回ることを示唆している。したがって、タンパク摂取量を確保した上での血清P値の管理が重要となる。この相反する2つの命題を解決する方法としては、タンパク質以外のP摂取の制限とP吸着剤の併用、透析によるP除去の増加が重要である。
非タンパク性のP含有量の指標としてP/タンパク含有比率がある。この比率が高いほどタンパク質以外のPが含有している可能性が高い。乳製品、小魚、レバー、加工食品などはこの値が高い。また、食品中のPには有機P(植物性タンパク、動物性タンパク)と無機P(食品添加物)があり、この生体利用率は植物性タンパク20-30%、動物性タンパク40-60%、無機P90%と大きく異なる。無機Pは食品添加物に含有されている為、清涼飲料水、アルコールやファストフードには易吸収性のPの含有量が多い、つまりP摂取量は食品により大きく異なり、生体利用率の点から高P血症に与えるインパクトは食品によりさらに大きく異なってくると考えられる。そこで、本日は飲料や食品のP含量を提示し、患者の食品選択ひいては高P血症管理の一助となるデータを提供したい。

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