演題情報

特別講演

開催回
第60回・2015年・横浜
 

在宅医療の未来

演題番号 : SL-4

三浦 公嗣:1

1:厚生労働省老健局長

 

平成26年に成立した医療介護総合確保推進法には,医療機関が都道府県知事に病床の医療機能(高度急性期,急性期,回復期,慢性期)等を報告し,都道府県はそれをもとに地域医療構想(ビジョン)(地域の医療提供体制の将来のあるべき姿)を策定することを規定するなど,これからの医療提供体制にはきわめて重要な規定が盛り込まれている.
その際,高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的として,可能な限り住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるように進められているのが,地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築である.医療と介護が切れ目なく連携し,発症予防から治療を経て社会復帰までが円滑に進められることが肝要である.
医療サービスそのものについても,入院医療から在宅での療養までの円滑な移行が重要であり,在宅での療養生活を考えるにあたって,医療・介護サービスが連携して継続的に提供されることが不可欠である.すなわち,これまで暮らしてきた生活と断絶せず,継続性を持って暮らすこと(継続性),高齢者自身の自己決定を尊重し,周りはこれを支えること(自己決定),今ある能力に着目して自立を支援すること(自己資源の活用)といった三点に特に留意する必要がある.また,保健・医療・福祉サービスは本人が直面する多様な問題に全人的に対応することが求められるため,医療関係者は医療分野に関する専門家であるだけではなく,本人の生活全般に関する深い理解と課題解決能力が求められる.このような資質は,本人の在宅生活に関わる在宅医療を担う専門家は言うまでもなく,医療機関での専門家においても同様に必要と考えられる.
諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行している我が国では,65歳以上の人口が既に三千万人を超えており(国民の約4人に1人),団塊の世代(約八百万人)が75歳以上となる2025年(平成37年)以降は,医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれている.
中でも誰もが関係すると考えられる認知症について,その身体合併症としての腎不全に適切に対応するために,透析医療機関における対応能力の向上も重要な課題である.

前へ戻る