演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第59回・2014年・神戸
 

手根管症候群

演題番号 : YW-10

森田 弘之:1

1:森田シャントアミロイド治療クリニック

 

手根管は手根骨と横手根靭帯により形成され、内部を指屈筋腱と正中神経が走行しています。横手根靭帯は屈筋腱を束ねている靭帯ということで屈筋支帯とも呼ばれています。透析患者さんの場合、β2-microglobulineを前駆蛋白とするアミロイドが横手根靭帯に沈着し靭帯が肥厚し、正中神経を圧迫するため、手根管症候群が発症すると考えられています。正中神経は親指から薬指の半分(親指側)の領域を支配しているので手根管症候群では、その部分のしびれや痛みという症状がでます。
指のしびれがあるけれど手根管症候群かどうかはっきりしない時は、誘発テストが診断に役立つことがあります。よく知られているものにPhalen’s testとTinel徴候があります。Phalen’s testというのは、手関節を手のひらの方に曲げた状態を保つと、指のしびれが発生したり、ひどくなるというものです。手根管症候群の方は、手関節を屈曲することにより、手根管内の圧力が高まり、正中神経の圧迫が強くなることでしびれが誘発されるのです。よく患者さんから聞かれる訴えは、自動車の運転でハンドルを長時間握っていると、指がしびれるというものや、自転車に乗っていると指がしびれてくるというものです。Tinel徴候というのは手関節部の正中を叩くと正中神経領域に痛みがあるというものです。包丁で硬いものを切ると、親指から薬指にかけてしびれや痛みが走るという訴えが聞かれることがあります。
手術では肥厚した横手根靭帯を切開し、正中神経の圧迫を解除してやれば症状は改善します。従来より行われている手術は手掌の皮膚を切開し、直視下に横手根靭帯を切開する方法です。しかし、この手術では手掌の皮膚を縦方向に切開するため、術後手をひろげると切開創に力がかかり、有痛性瘢痕を形成することがあり、術後患者さんを長期間にわたって悩ますことになります。
このような術後の合併症を起こすことなく、しかもしっかり横手根靭帯を切開できる手術法が内視鏡による手術です。私の施設で施行している内視鏡手術を考案した先生は奥津先生(現、おくつ整形外科クリニック、院長)です。この方法による内視鏡手術のビデオを供覧する予定です。

前へ戻る