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開催回
第59回・2014年・神戸
 

バスキュラーアクセスのモニタリングにおけるシャントトラブルスコアリングの有用性

演題番号 : WS-12-7

吉澤 亮:1、前波 輝彦:1

1:あさおクリニック 内科

 

【目的】当院では2006年よりシャントトラブルスコアリング(STS)を導入.STSを改定し,8年間にわたり使用してきた.当院のSTSからみたバスキュラーアクセス(VA)モニタリングの有用性を分析した.
【方法】2010年1月から2013年12月までにPTA施行した院内患者92名340件を対象とし,PTA前後でSTS評価項目の異常を検討した.AVGに関してはPTA前後の動的静脈圧についても検討し,2010年1月から2013年12月までで院内院外併せた閉塞症例の直前動的静脈圧と比較した.また,VA閉塞による緊急PTA・手術が必要となった症例を調査した.
【結果】PTA前STS異常の上位3項目は「狭窄の触知」67.6%,「拍動を伴う」57.9%,「シャント肢拳上で血管のへこみを認める」29.4%であり,「狭窄音聴取」は5.9%にすぎなかった.この上位3項目のうち1項目でも異常を認めた件数は81.2%を占めた.
STS点数はPTA前の2.6±1.5で,PTA後には1.6±1.3まで有意に改善した(p<0.05). AVF,AVGに分けると,AVF258件(80名)ではPTA前3.1±1.2から1.8±1.3に有意に改善(p<0.05)し,AVG82件(12名)も前1.6±1.8から1.1±1.1に有意に改善 (p<0.05) した.
PTA前後の比較では,上記の「狭窄の触知」,「拍動を伴う」,「シャント肢挙上で血管のへこみを認める」,「狭窄音聴取」の4項目と「止血時間の延長」,「シャント音低下」で有意な改善(p<0.05)を認めた.
AVGのPTA前後の動的静脈圧は,前150±39から後124±31mmHgまで有意に改善 (p<0.05) した.閉塞例34件(28名)のPTA前静脈圧は163±27mmHgとなった.
VA閉塞による緊急処置を要した症例はSTS導入前年が14.2%であったのに比べ,STS導入後7年間は5%以内に減少した.
【考察】VAモニタリングについては聴診が日常多く行われているが,STSによる触診やシャント肢挙上などの簡単な理学的診察でVA異常の早期発見が可能である.また,STS適用によりVA閉塞に対する緊急処置の件数が減り,シャント温存にも寄与するため,VAモニタリングにはSTS活用が極めて重要と考える.AVGに関しては,狭窄閉塞前でも静脈圧が上昇しない場合もあり,定期的に血管造影や超音波でのサーベイランスを行うことも重要である.

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