演題情報

ワークショップ

開催回
第59回・2014年・神戸
 

適正なバッファーの種類とその濃度

演題番号 : WS-05-7

倉賀野 隆裕:1、中西 健:1

1:兵庫医科大学内科学 腎・透析科

 

現在透析液中に配合されている緩衝剤として酢酸・クエン酸等が用いられている。しかしながら緩衝剤として何が適しているのか?またその適正な濃度等については明確にされていない。酢酸は透析液のpHを安定させ、肝臓もしくは筋肉で代謝され、緩衝剤として作用する。現在市販されている多くの透析液は酢酸を7.5-10 mEq/L含有しているが、酢酸は古くから心拍数の増加・心拍出量の低下・末梢血管拡張作用を有する事が知られている。更に近年の基礎的な検討では、低濃度(4mq/L)であっても酢酸は、血管内皮細胞や心筋細胞においてNO活性化やTNF-α放出を誘導していると報告している。よって透析液中に緩衝剤として配合されている酢酸は透析中の不安定な循環動態や慢性炎症に影響を与えている可能性が懸念されている。実際我々の酢酸含有透析液と無酢酸透析液を用いたクロスオーバー臨床研究でも無酢酸透析液の使用では、透析中循環動態の安定化・栄養状態や貧血の改善に寄与した可能性を報告している。近年クエン酸を緩衝剤として用いる事により、透析液から完全な酢酸の排除が可能となった。この事により透析中の血圧低下に伴う症状(吐気・嘔吐)の改善・透析中断による透析不足の改善・心保護作用・炎症軽減効果などの酢酸含有透析液の弱点を克服すると同時にクエン酸が有する血管内皮保護作用・抗炎症効果・抗血栓性も期待されている。しかしながら透析剤に配合されたクエン酸の生体内における代謝や、クエン酸とイオン化カルシウムとのキレート錯体の生体内への影響が必ずしも明らかになっていないため、長期使用による安全性やその適正な濃度について検証が必要とされている。これら透析液中に配合された各種緩衝剤の利点・欠点をふまえ、今後の透析患者や透析様式に適した透析剤の緩衝剤の種類とその適正な濃度について考察する。

前へ戻る