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ワークショップ

開催回
第59回・2014年・神戸
 

長時間透析における透析液組成を考える

演題番号 : WS-05-6

前田 兼徳:1、前田 由紀:1

1:(医)兼愛会前田医院

 

【緒言】
理想的な透析液組成とは、個々の患者に合わせたテーラーメイドであることは言うまでもない。しかし周知のように、わが国のほとんどの透析施設においては中央透析液供給装置(Central Dialysate Delivery System)が主流を成しており、どちらかと言えば透析液の組成に治療方針を適応させる仕組みとなっている。昨今、1回4時間・週3回・血流量200 mL/分・透析液流量500 mL/分程度が標準的な透析条件とされており、市販の透析液とは透析患者の母集団をこの透析条件に当てはめた結果、その大部分の透析前後の検査値が基準値より大きく逸脱しない組成に設定されているものと推測される。つまり、現存の透析液に求められてきたものは、平均的な患者背景と標準的な透析条件に対応する最大公約数的な組成であった。
【長時間透析】
長時間透析とは1回6時間以上・週3回の血液透析であり、透析効率が高く、従来の標準的な透析とは一線を画する。そのため、市販の透析液で治療を行う場合、透析後の過除去や過負荷を懸念する必要がある。具体的には透析後の低K血症や低P血症に注意が必要である。また、透析後の酸塩基平衡の補正が過剰になる可能性もあり、透析液の重炭酸濃度の再考も重要となる。酢酸含有重炭酸透析液の使用下では、酢酸の過負荷による酢酸不耐症の発症にも危惧する必要があるかもしれないし、クエン酸含有重炭酸透析液の使用下ではクエン酸濃度の上昇についても配慮が成されるべきであろう。
【提言】
現在、長時間透析のみならずオンラインHDFや施設頻回透析など、血液透析の治療体系の多様化が進んでいる。いまだ少数に留まるが、在宅血液透析のさらなる普及により、長時間透析や頻回透析などの高効率の透析の需要が今後はますます増加するものと思われる。一方で、既存の血液透析患者や新規導入患者の高齢化も年々顕著になっている。今後は「より多くの透析量を希望する患者群」と、「現状の標準的な透析量の患者群」、「従来の透析量さえも許容しえない患者群」の患者背景の三極化が進むものと思われる。このような現状を踏まえて、長時間透析における透析液組成および近未来の患者をターゲットとした透析液組成についての私見を述べたいと思う。

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