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ワークショップ

開催回
第59回・2014年・神戸
 

マグネシウム濃度

演題番号 : WS-05-5

石村 栄治:1、奥野 仙二:2、越智 章展:1、稲葉 雅章:1

1:大阪市立大学大学院医学研究科腎臓病態内科学・代謝内分泌病態内科学、2:仁真会白鷺病院 内科

 

生体内のマグネシウム (Mg) は腎臓から排泄され、血清Mg濃度は腎機能正常者では、1.7~2.5 mg/dL(1.5~2.1 mEq/L)の狭い範囲に調整されている。腎機能の廃絶した透析患者では腎よりのMg排泄がなく血清Mg濃度は高値となり、多くの患者で血清Mgは2.3~3.0 mg/dL (1.9~2.5 mEq/L)の範囲に分布している。透析患者の血清Mg濃度は食事からのMg摂取量にくわえ、透析液Mg濃度の影響を強くうける (Semin Dial 22:37, 2009)。現在、我が国で使用される透析液Mg濃度は、ほとんどは1.0 mEq/L (1.2 mg/dL)である。透析療法黎明期には 1.5mEq/LのMg濃度液が用いられた時期もあり、欧米では現在も1.5mEq/Lの透析液も存在する。我々は近年血液透析患者の血液や毛髪Mg濃度につき検討してきた。【スタディ1】390名の血液透析患者(非糖尿病)の手の血管石灰化のある群では血清Mgが有意に低値であり、Ca, P, PTHで補正しても低Mg血症は独立して血管石灰化の存在に関連していた (Clin Nephrol 68:222, 2007)。【スタディ2】515名の血液透析患者の5年間の追跡調査にて、血清Mg低値の患者(Median 2.77 mg/dL未満)では生存率が有意に悪く、諸因子補正のCox比例ハザード法解析でも血清Mg低値が有意な生存不良因子であった (Mag Res 20:237,2007)。【スタディ3】血液透析患者の血清Mg濃度と橈骨遠位端骨塩量は有意な正の相関がみられ、低Mg状態で骨密度の減少がみられ、さらに腰椎圧迫骨折のある群ではない群に比べて血清Mg濃度は有意に低値であった(JJSMgR 29:41,2010; JJSMgR 24:69,2005)。【スタディ4】組織Mg量を反映する毛髪Mg濃度は心エコーにおける左室肥大と有意な負の相関を示し、低毛髪Mg状態が左室肥大に有意に関連した(Circ J 77:3029,2013)。近年、Sakaguchiらはわが国の透析医学会データベース142,555人の解析より、低Mg血症が心血管系疾患死亡、非心血管系死亡の有意な予測因子であることを報告している (Kidney Int 2013 in press)。以上の研究より、低Mg状態は改善されるべきであり、低Mg血症の透析患者には、現在の 1 mEq/Lの透析液の濃度を上げる必要があることが示唆される。

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