演題情報

ワークショップ

開催回
第59回・2014年・神戸
 

カリウム濃度~生命予後を改善するために

演題番号 : WS-05-3

花房 規男:1

1:東京大学医学部附属病院 腎疾患総合医療学講座

 

【患者背景の変化】近年透析患者の背景因子は変化しており,心血管合併症を持つ患者の割合が増加している.さらに,低栄養あるいは炎症を合併している患者も多く見られるようになってきている.従来は腎不全患者においては,高カリウム(K)血症が大きな問題であった.しかし,こうした患者背景の変化から,低K血症にも注目が集まっている.
【カリウム異常と予後】透析前K濃度と予後との関連については,いくつかの検討がなされている.複数の観察研究で透析前血漿K値と全死亡,心血管死亡,心臓突然死との間にはUカーブの関連が認められている.また,心臓突然死の直前には約半数の患者で低K血症を認めていたとの報告もあり,カリウム濃度の異常が予後に与える影響に注目が集まっている.
【透析液K濃度と予後】従来高K血症が問題となることが多かったため,わが国の透析液は血漿濃度の正常値より低い値とされていて,血液透析では2.0mEq/L,腹膜透析液では0mEq/Lの濃度の透析液が市販されている.実際に高K血症を認める場合には,K<3mEq/Lの透析液を使用することが望ましいことが過去の報告でも示されている.しかし,低すぎるK濃度 (K<2mEq/L)もまた不良な予後と関連することが示されている.
【低K透析液の影響】低いK濃度の透析液を使用することで,心電図のQTcへの影響など,不整脈と関連する電気生理学的マーカーが増大することが示されている.細胞内外のK濃度差,あるいは血漿透析液間の濃度差を一定にすることで不整脈が抑制されたとする報告もみられる.このため,特に心血管合併症や,低栄養・炎症を合併しており,透析前血漿K濃度が低い患者においては,K濃度が低すぎる透析液を避けることが望ましい.
【今後の展望】今後,ますます高リスクの透析患者の増加が見込まれており,従来の透析患者に対するものとは異なった新しいpracticeが様々な領域で必要となっている.透析液K濃度においても,実際の患者を元にした個別化した処方透析が必要とされる.外来透析施設でも容易に処方透析が行えるように,3.0mEq/Lなど現在よりも高いK濃度の透析液の市販が望まれる.

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