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開催回
第59回・2014年・神戸
 

重炭酸イオン濃度ディベート(1)低めが良い

演題番号 : WS-05-1

山本 忠司:1、山川 智之:1

1:白鷺病院

 

透析患者における代謝性アシドーシスの是正は蛋白、骨代謝や生命予後にかかわる重要な問題である。しかし、一昨年のCKD-MBDガイドラインおよび昨年の維持血液透析ガイドラインにも酸塩基平衡の維持管理指針は示されておらず、外国のガイドラインを参考にしなければならないのが現状である。
酸塩基平衡に関わるガイドラインには、透析前重炭酸濃度(前濃度)を指標として、2000年と2003年K/DOQIは22 mEq/L以上、2004年DOPPSは20~22 mEq/L、2007年EBPG(欧州)は20~22 mEq/L、2012年UKRAG(英国)では18~24 mEq/Lとしており、K/DOQIを除いて前濃度は22 mEq/L未満のマイルド・アシドーシスを推奨している。これは、蛋白・骨代謝には22 mEq/L以上の正常域の是正が重要であるが、正常域までの是正では代謝性アルカローシスのリスクが危惧されているからである。
透析液重炭酸濃度(液濃度)については、2013年DOPPSで液濃度とアウトカムの関係が報告され、高い液濃度は死亡リスクと心血管疾患リスクに関連性があり、この原因として透析後の代謝性アルカローシスによる軟部組織や血管の石灰化が示唆されている。しかし、この報告では液濃度と前濃度には相関がないという矛盾した結果となっている。
もう一つの大きな問題は、2006年と2013年のDaVitaグループ、2009年JSDTでも報告されたが、前濃度と死亡リスクのU字関係が栄養因子・炎症因子調整でJ字関係になり、高い前濃度には栄養状態不良の症例が、低い前濃度には栄養状態良好な症例が含まれ、前濃度でのリスクの解釈を複雑にしていることである。これは、アシドーシスは蛋白異化を亢進させるが、蛋白異化の亢進はアシドーシスとなるという矛盾に由来している。しかし、HEMO Studyでマイルド・アシドーシスは蛋白異化に影響しないことが報告されており、低蛋白異化または低体重による高い前濃度の症例にはやや低い液濃度で、高蛋白異化または高体重による低い前濃度の症例にはやや高い液濃度で、共に前濃度をマイルド・アシドーシスに維持することが代謝性アルカローシスによるリスク軽減に重要であると考える。
酸塩基平衡の是正はテーラーメイドが原則であるが、CDDSでは液濃度、前濃度は低めが良いと考える。

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