演題情報

ワークショップ

開催回
第59回・2014年・神戸
 

電解アルカリ水(水素水)を用いた透析液(基礎と臨床)

演題番号 : WS-04-4

中山 昌明:1

1:福島県立医科大学附属病院 人工透析センター

 

慢性腎不全、透析患者では炎症・酸化ストレスが増幅しており、これが心血管合併症、感染症などによる高い死亡率の原因になっていると想定されてきた。その原因として、(1)患者血液中の炎症・酸化ストレスマーカー・生成物の増加、(2)好中球刺激によるスーパーオキシド産生の亢進、(3)血液透析前後での単核球での酸素ラジカルやpro-inflammatory物質の産生増加などが挙げられる。しかしながら有効な治療は確立されていない。電気分解アルカリ水(電解水)は、日本国内では家庭用飲用水として広く普及しているが、これが炎症を緩和することは本邦においては以前から経験的に知られていた。このような背景のもと、電解水を用いた透析治療は、海外では台湾のグループから貧血や免疫機能の改善効果が2004年に報告されている。しかし、その治療効果を説明する科学的根拠は不明であり、その後、治療システムとして展開するには至らなかった。一方、2006年に日本医大の生化学研究チームからH2ガスの持つ抗炎症作用が報告された。この衝撃的な報告を皮切りに、H2投与により種々の炎症疾病モデルの炎症・酸化ストレス反応が減弱し、臓器が保護される事実が国内外での多くの研究で示されてきた。この機序には、化学的な活性酸素種の消去反応に加え、抗酸化系の賦活化やアポトーシス抑制といった生物学的な作用によるものであることが明らかにされつつある。このガスメディエーターとしてのH2の役割を踏まえ、我々の研究グループ(東北大学・福島医大・株式会社日本トリム産学共同研究)は、2005年から電解水が含有するH2濃度を評価基準に、臨床効果の検討と治療システムの開発を行ってきた。現在までの経験で、本治療法により血漿アルブミンの酸化型比率減少と還元型比率の増加、血中MCP-1低下が認められ、臨床的には、透析困難症、末梢循環不全、エリスロポエチン抵抗性貧血、透析後疲労感等に対する有効性が観察されている。現在、国内7施設による電解水透析と通常透析患者の予後を比較する前向き観察研究(~2017年まで予定)が実施されている。本ワークショップではこれらの電解水透析の開発の経緯と現況について紹介する。

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