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開催回
第59回・2014年・神戸
 

電解酸性水(次亜塩素酸水)の生物学的特性

演題番号 : WS-04-3

岩澤 篤郎:1

1:東京工業大学大学院生命理工学研究科

 

電解酸性水(次亜塩素酸水)は、即効的かつ広範な抗菌スペクトル、低毒性、ランニングコストが安いなどの利点を有する。それに対し、従来の消毒剤は高濃度で、安定性が高く確実な効果が得られる。消毒剤との違いであるが、細胞毒性とモルモット創治癒過程の影響を比較検討した結果、培養細胞に対する毒性では、電解水の毒性は認められなかったのに対し、消毒剤では顕著な毒性が認められた。モルモット創治癒過程では、表皮細胞の遊走には各製剤間で有意な差は認められなかったが、消毒剤では炎症部位面積は未処理群と比較し有意に大きかった。したがって、生理食塩水では殺菌効果は期待できず、市販消毒薬では生体細胞を損傷する。電解水の使用では、生体細胞を損傷せず殺菌効果を期待できると考えられた。殺菌に関与する因子は、次亜塩素酸が主体であり、その効果はpHによって左右される。幅広い微生物に対する殺菌効果を示すpH領域は,pH2.7~pH3.5が最適であり、未分解の塩濃度を抑えることが重要であることを報告した。さらに、次亜塩素酸の殺菌機構を明確にするために、生体構成成分であるアミノ酸との反応を検討した。現在までに得られたデータから、S原子を含むアミノ酸Lメチオニン、Lシステインでは-NH2、S原子の順に相互作用が進み、S原子を含まないアミノ酸Lグルタミン酸、Lセリンでは分子全体で相互作用すると考えられることを報告した。電解水は、次亜塩素酸の殺菌効果を最大限に効果的に発現している。既存の酸化剤と比べその作用が最も弱く、生体に対する安全性が高いのが特徴である。従来の高濃度次亜塩素酸製剤の使用では、発生する有機塩素化合物の環境に対する影響を危惧する社会情勢と逆行している。酸化剤を使用する限り、酸化作用は微生物だけでなく、対象の生体細胞や機器等にも障害を与える。このリスクとベネフィットを考え、電解水と既存の消毒薬との適正使用の構築が必要である。

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