演題情報

ワークショップ

開催回
第59回・2014年・神戸
 

各国ガイドラインのESA投与の開始基準と目標Hb

演題番号 : WS-01-3

後藤 俊介:1、西 慎一:1

1:神戸大学大学院 腎臓内科

 

ESAが1990年に登場して以来、腎臓病に伴う貧血に対する治療は劇的に改善しHbを正常化させることも不可能ではなくなった。貧血は腎臓病患者にとってリスクファクターであることが観察研究から示されており、貧血の改善が予後の改善につながると期待されていた。2006年のKDOQIからのガイドラインでは慢性腎臓病での目標Hbは13g/dl以上を推奨するエビデンスは不足するものの、11g/dl以上にすべきとされていた。しかし2006年に発表されたCHOIR、CREATEおよび2009年に発表されたTREATと保存期腎臓病を対象とした大規模RCTにてESAにてHb>13g/dlと正常化を目標とした群が<13g/dlを目標とした群に比べ、QOLなどいくつかの項目において改善する可能性はあるものの、CVDや脳梗塞などについては逆に悪化させる可能性が示された。この結果を受け各国から様々はコメントが出され、2012年に慢性腎臓病対策の国際的な組織であるKDIGOから発表されたガイドラインでは、個々の症例に応じて治療についても考慮するとされているが、保存期、透析患者ともHb:10~11.5g/dlの目標が提案されている。我が国では2008年に日本透析医学会より作られたガイドラインにて血液透析患者はHb:10~11g/dlで12g/dlを超える場合減量・休薬(活動性の高い比較的若年者では11~12g/dlで13g/dlを超える場合減量・休薬)、保存期・腹膜透析は11以上で13g/dlを超える場合減量休薬とされている。ただ日本腎臓学会からも保存期のみであるがガイドおよびガイドラインが示されており、CKD診療ガイドライン2009では透析医学会と同様の記載であるが、CKD診療ガイドでは2007、2009、2012とも一貫してHb:10~12g/dlと記載されている。これらを総合的に勘案して、CKD診療ガイドライン2013ではHb>13g/dlを目標に治療することは推奨しないという記載のみにとどめられた。本講演では各ガイドラインでのESA投与における異なる目標Hb値が設定された理由について、その背景となるエビデンスとともに概説する。

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