演題情報

シンポジウム

開催回
第59回・2014年・神戸
 

透析患者の口腔環境と栄養状態

演題番号 : SY-09-5

毛利 謙三:1、松岡 哲平:2

1:(医)大誠会 サンシャインM&Dクリニック 歯科・歯科口腔外科、2:(医)大誠会

 

一般的に20本以上の歯があれば、食品の咀嚼が容易であり、日常の食生活にほぼ満足することができると言われている。透析患者は満足した食生活をおくることができているのだろうか?当施設で調査した血液透析患者131名(平均年齢65.3歳)の中で20本以上の残存歯を有していたのは72名(約55%)であった。20本以下は59名(約45%)で、平均残存歯数は18.1本であった。透析患者の半数近くは、必ずしも満足することができない残存歯数で日常の食生活をおくっている可能性が示唆された。そこで残存歯数とnPCR値の関係を調査したところ、残存歯20本未満の透析患者は、20本以上残存している透析患者に比べてnPCR値は低かった。また、透析治療を開始してう蝕が増えたと訴える患者も存在する。われわれが行った調査では、透析患者の一人あたりの未治療のう蝕歯数は、非透析者に比べて高かった。う蝕関連菌の培養検査では、初期う蝕の形成関与するstreptococciと、う蝕の進行に関与するlactobacilliのどちらも 多く検出され、う蝕罹患リスクが高いことが示唆された。さらに中等度以上の歯周病者の割合は約80%で、非透析者に比べて高かった。透析患者30名に行った歯周病原性細菌由来ペプチターゼキットを用いた検索では、透析患者には歯周病関連菌の陽性者が多く、歯周病罹患リスクも高いことが示唆された。透析患者の口の中は、う蝕や歯周病に罹患しやすい口腔環境にある。う蝕や歯周病は、咀嚼時の痛みや歯の動揺などを起こし、不満足な食生活に繋がっていく。栄養指導中に患者の口臭・歯の状態を観察し、異常が確認された場合や、やわらかい食事を好む傾向がみられた場合は、速やかに口腔環境を早期に整える必要があると考えられる。

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