演題情報

シンポジウム

開催回
第59回・2014年・神戸
 

透析処方からの栄養障害進展抑制へのアプローチ

演題番号 : SY-09-4

政金 生人:1

1:矢吹病院 腎臓科

 

【背景】栄養障害は慢性維持透析患者のQOLを損ない、長期生存を脅かす最も深刻な合併症であると認識されて久しい。その病態は栄養摂取不足(除去とのアンバランス)と炎症、骨ミネラル代謝異常が相互に連関して血管石灰化を促進するものである。現時点で我々はこれを遅延させる透析処方からの有効なアプローチ法を確立してはいない。
【透析技術と栄養状態】これまでに報告されている透析技術・処方によって栄養障害が改善した、あるいは栄養障害の進行を遅延させるとする報告はいくつかある。Schifflは超純粋透析液の使用により、透析患者の炎症と栄養状態が改善したと報告し、同様な報告はわが国でもなされている。週6回8時間の長時間頻回透析によって栄養状態が改善し、血管石灰化が抑制されることも報告されている。最新のon-line HDFに関するメタ解析では、HDF群は体重が増加し、同治療法により栄養状態が改善する可能性を示唆している。高齢者においてPS膜を使用した高能率透析が栄養障害を惹起し、EVAL膜やEMMA膜で改善すると報告されている。Schifllの介入研究以外はいずれも小規模な観察研究であり、エビデンスレベルは低く、これらの治療法による栄養障害の改善が広くコンセンサスをえられている訳ではない。
【まとめ】透析患者の栄養障害に対する透析処方からのアプローチは、生体適合性の良い治療を十分に行うということにつきる。そのためには栄養障害のスクリーニングと対策立案の手順を明確にしておくことである。我々はまずMISを用いて栄養評価を行い、高リスク群を炎症型、栄養摂取アンバランス型に分ける。その上で原因不明の炎症症例にはオンラインHDFや吸着特性をもった透析膜を使用する。炎症所見が無く栄養摂取不足が栄養介入でもなかなか改善しない場合は、一時透析効率を落とすこともある。重要なことは介入計画を必ず再評価し、無効だった場合は別な手段を講じることである。残念ながら栄養障害を改善させる透析処方の定番はないため、患者ごとに試行錯誤を繰り返すことが重要である。

前へ戻る