演題情報

シンポジウム

開催回
第59回・2014年・神戸
 

透析患者の脳卒中

演題番号 : SY-06-3

祖父江 理:1、河野 雅和:1

1:香川大学医学部 循環器・腎臓・脳卒中内科

 

透析患者における脳卒中は総死亡に占める割合は年々減少しているが、依然として重要な疾患である。透析患者における質の高いエビデンスは少なく、非透析例のエビデンスを勘案することが多いが、一方で薬剤の排泄遅延、体外循環、抗凝固薬による出血傾向など、透析患者特有の病態のため脳卒中に対する治療や予防が非透析例とは異なり、その特徴を知ることが重要である。
脳出血:透析患者では脳卒中の中でも脳出血の割合が高く、重症例、死亡率ともに高い。発症後24 時間以内は血腫増大のリスクが高いため、透析を避けることが望ましい。急性期の血液浄化法としては、頭蓋内圧上昇予防の観点からは血液透析よりも腹膜透析や持続的血液透析濾過が望ましいが、血液透析を行う際には血流を落とし、透析中にグリセオールを投与するなど、頭蓋内圧上昇を予防するよう工夫する。抗凝固薬はメシル酸ナファモスタットを使用する。末期腎不全患者では血圧コントロールに難渋する症例も多い。
脳梗塞:透析患者の脳梗塞は近年増加傾向にある。急性期治療としては、抗浮腫療法に加え、抗血小板療法が推奨されるが、微小出血(microbleeds)を伴う患者では注意が必要である。抗血小板剤、抗凝固剤、脳保護薬の投与に関しては腎不全による蓄積性、透析性を考慮して慎重に選択する。超急性期症例に対するrt-PA製剤による血栓溶解療法の使用可能時間が2012年9月より発症3時間以内から4.5時間以内に延長されたが、透析患者への使用報告はごくわずかである。一次予防の観点からは、心房細動に対する抗凝固療法があげられる。しかし、透析患者では心房細動と脳梗塞発症との関係が必ずしも明確ではないことや、抗凝固薬による出血性合併症のリスクが高いことに加え、大規模研究にて抗凝固療法による脳卒中発症や総死亡率の増加が示されており、抗凝固療法は慎重に行うべきである。
透析患者の脳卒中の予防・治療のエビデンスはいまだ不十分であり、今後のエビデンスの集積が待たれる。本シンポジウムでは、透析患者の脳卒中について、ガイドラインを中心に最近の知見を述べる。

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