演題情報

シンポジウム

開催回
第59回・2014年・神戸
 

慢性腎臓病における脳腎連関のメカニズム

演題番号 : SY-06-1

森 建文:1、大崎 雄介:2、佐藤 恵美子:1、伊藤 貞嘉:1

1:東北大学大学院医学系研究科 腎高血圧内分泌学分野、2:東北大学大学院医学系研究科 統合腎不全医療寄附講座

 

【緒言】慢性腎臓病が脳血管障害の危険因子であることが疫学研究により明らかになっている。慢性腎臓病と脳血管障害はしばしば高血圧や糖尿病、脂質異常症など共通した疾患の存在により病態が進行し脳と腎臓には機能的連関があると考えられている。しかしながらこの脳腎連関を明確に説明できるメカニズムは未だ明らかになっていない。このシンポジウムでは慢性腎臓病における脳腎連関メカニズムについて考察する。
【高血圧とstrain vessel仮説】高血圧は慢性腎臓病、脳血管障害ともに危険因子であるが、脳と腎臓には類似した血管構造が存在する。糸球体前の血管や中大脳動脈の穿通枝はともに太い血管から細い血管が分枝し、血圧を低下させる必要がある。これらの血管は常に高い圧力にさらされ、早期から障害がおきやすい血管である。これらの血管を我々はstrain vesselと名付け、脳腎連関メカニズムを説明し得るものと考えている。
【カルボニルストレス】糖の分解産物であるメチルグリオキサールが糖尿病のみならず慢性腎臓病患者で血中濃度の上昇がみられ、透析患者では健常人の10倍にもなる。この物質はラットにおいて食塩感受性高血圧やインスリン抵抗性の他、心腎血管障害に関与していた。また、血中メチルギリオキサールの上昇は糖尿病腎症患者において、5年後の高血圧や頸部血管障害を予測した。
【レニン・アンジオテンシン系と自動調節能】原発性アルドステロン症や糖尿病、妊娠高血圧症候群では脳血管障害が多いことが知られている。その機序には脳血流の自動調節能の減弱が一因と考えられている。このいずれの病態でも血漿レニン活性の低下があるにも関わらず、組織のレニン・アンジオテンシン系が亢進し、食塩感受性の病態である。糖尿病および妊娠高血圧症候群ではともにプロレニンの増加があり、病態への関与が示唆されている。
【結論】脳と腎臓には様々な機能的連関があり、慢性腎臓病と脳血管障害を関連付けている。これらのメカニズムが明らかにすることにより、バイオマーカーや新たな治療法の開発、創薬が期待できる。

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