演題情報

シンポジウム

開催回
第59回・2014年・神戸
 

腎臓再生の臨床応用に向けた研究の課題

演題番号 : SY-04-5

小林 英司:1

1:自治医科大学 先端医療技術開発センター

 

20世紀、腎臓移植を始め臓器移植医療は臓器不全で死に陥る患者を確実に救命し、健康な状態に戻すことのできる究極の治療法となった。しかしこの究極の医療行為は、人というドナーが必要であり、将来は移植に頼らない治療法の開発はもとより、脳死または生体移植にせよ人というドナーに頼ることなく、「移植可能な臓器を作りだす」ことが必要である。人の臓器を丸ごと作るという学問(臓器再生医学)は、極めてハードルの高いこの研究分野であるが、種々の分野から英知を結集する必要がある。これまで多くのすぐれた研究者とともに努力してきたが、本シンポジウムでは、腎臓という臓器丸ごとの再生について臨床応用の課題を整理したい。
慈恵医大・横尾教授および明治大学・長嶋教授らとブタの胎児腎臓原器にヒトMSCを打ちこみ、これを患者に移植ことでヒト化腎臓組織を誘導する方法を実験的に検討してきた。この方法でヒト腎臓組織が分化させながら、足場となったブタ腎臓原器の組織を自殺誘導することで完全な自己再生臓器・組織を作りえること仮説として、その原理をラットーマウス及びブターネコ異種移植モデルを用いて証明した(Stem Cells 2012)。現在、尿路を作ることが最大なる課題であるが、その克服に光明が見えてきた。
一方、近年、細胞やたんぱく質などの生物学的材料を用いて3次元の組織や臓器を作ろうとする試みもなされ始めている。女子医大・岡野教授、清水教授、関根博士らと血管網と心筋細胞シートを組む合わせることで In vitro で心筋組織のbio fabricationを試みた(Nature Com 2013)。現在のところ、この重ね合わせだけでは血管付きで移植可能な臓器まで発育させることが困難であるが、organ fabricationの糸口となった。慶應大学・北川教授、八木医師らと本来の生細胞を完全除去した脱細胞化臓器を足場として、いわゆるbio scaffoldとして使用することで、新たに細胞充填する手法についても共同研究を開始した。さらに京都大学・長船准教授らとこの脱細胞臓器にiPS細胞から誘導した腎臓前駆細胞を充填して臓器が作れないかを検討している。これらの研究において臨床応用にはブタモデルを用いた前臨床研究が必須である。

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