演題情報

シンポジウム

開催回
第59回・2014年・神戸
 

再生医療臨床研究の倫理

演題番号 : SY-04-4

橳島 次郎:1

1:(公財)東京財団

 

一般に、人を対象にした科学研究の実施が許される条件は、以下の三点である: 
1)科学的に必要で妥当であること 2)対象者の同意、無償(経済的誘因の禁止)、個人情報保護が担保されていること 3)第三者による事前審査で承認されること 
これに対し医学における人を対象にした臨床研究では、1)の科学的必要性と妥当性に加え、安全性と有効性についてリスクとベネフィットの比較考量が実施の可否を判断する基準となる。リスクを上回るベネフィットが得られると予想できれば、相当の侵襲のある研究でも実施が許される。逆にいかにリスクや侵襲性が低くとも、科学的な必要性や医学的な有効性を期待できない研究は、人に行なうことは許されないと考えるべきである。 
以上の医学研究倫理の一般論を超えた、特別の対応を必要とする倫理的問題が、再生医療研究にはあるだろうか。 
従来、幹細胞を用いる再生医療研究においては、個々の細胞の来源の倫理性が重視され、議論されてきた。中絶胎児の幹細胞や胚を壊してつくるES細胞を用いた研究は倫理的に問題があるとされ、実施が忌避されたり厳しく規制されたりしてきた。 
それに対しiPS細胞登場以後の再生医療研究においては、来源ではなく、用いる細胞自体の安全性が強く問われるようになる。生物学的機序が十分解明されていない人工細胞を用いた臨床研究の安全性は、どのように・どこまで保障されればよいか。その安全性について対象者にどこまで正確に伝え理解してもらうことができるか。それが再生医療臨床研究の倫理の中核になる。 
本演題では、こうした倫理的課題に対し、昨年制定され本年から施行される予定の、医薬品医療機器等安全確保法(旧薬事法)および再生医療安全確保法による新管理体制がどう対応しているか、そこにどのような課題があるかについて、考えてみたい。

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