演題情報

シンポジウム

開催回
第59回・2014年・神戸
 

ブタの体内nicheを利用した臓器再生戦略

演題番号 : SY-04-2

長嶋 比呂志:1

1:明治大学バイオリソース研究国際インスティテュート

 

ブタの体内nicheを利用した臓器再生戦略明治大学バイオリソース研究国際インスティテュート長嶋比呂志ヒト多能性幹細胞からの機能的な臓器や組織の作成を目的として、ブタの体内環境を利用する試みがある。そのためには、外来性細胞に由来する臓器形成を許容する体内の空き空間(niche)が必要であると我々は考えた。 第一段階として、膵臓形成不全の表現形を示す遺伝子改変ブタの作出に成功した。このことは、遺伝子操作によって、特定の臓器を欠損するブタを作出し得ることを示している。
次ぎに、この膵臓欠損ブタの細胞から作成したクローン胚に正常な胚細胞を注入する操作、すなわち胚盤胞補完を施すことによって、外来性細胞由来の正常な膵臓の形成が誘導できることを示した(Matsunari et al., PNAS 2013)。さらに、異種間の胚盤胞補完システムを用いて、膵臓欠損(Pdx1-/-)マウスの体内に、ラットiPS細胞由来の膵臓を形成し得ることも証明されている(Kobayashi et al., Cell 2010)。
以上を総合すると、(1) 臓器形成不全という表現形を持った胎仔の体内に、外来性多能性幹細胞由来の臓器形成を誘導する「異種胚盤胞補完」が成立し得ること、(2) 臓器欠損という一種の体内nicheを持った遺伝子改変ブタをプラットフォームとして、大型動物においても胚盤胞補完システムを構築できること、などが明らかとなっている。つまり、近年の研究により、動物体内でのヒト臓器の生産にチャレンジするための技術基盤が構築されたと言えよう。
本講演では、これらの研究成果を概説すると同時に、今後の研究展開について考察したい。

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