演題情報

シンポジウム

開催回
第59回・2014年・神戸
 

透析患者由来幹細胞を用いた腎臓再生法

演題番号 : SY-04-1

横尾 隆:1

1:東京慈恵会医科大学附属病院 腎臓・高血圧内科

 

再生医学研究の中で最も遅れているとされているのは腎臓である。理由は解剖学的に非常に複雑で、その複雑な3次元構造を忠実に再現しなければ臓器としての機能が再生されないことである。したがって残念ながら現時点では腎臓を再生するのは不可能であるとあきらめられている。さらに腎臓の場合、透析によりとりあえずの延命が可能であるため、死亡に直結せず研究の緊急度、要求度が低いと認知されていた。しかし現実には腎臓の問題は非常に深刻であり、高齢化や糖尿病の増加により増え続ける透析患者に対応する医療費が底をつき、透析医療は行き詰まった医療経済の最大の課題になっている。そこで諦めかけている腎臓再生医療を実現化して腎不全治療の次の一手にしようと世界中で精力的に研究が進められている。我々はこれまで胎内環境を活用した幹細胞分化法を用いて、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞から、生体内で尿生成能などの腎機能を獲得した腎臓の再生法の開発を行ってきた。開発はげっ歯類を用いて開始され、ヒトに近づける為に徐々に大型動物で検討を行っている。最終的なストラテジーとしては透析患者の成体幹細胞を用いて自己再生腎臓を樹立することである。しかしここで問題になるのは、長期間尿毒素に暴露された環境にある透析患者体内の幹細胞は健常者と比較して腎臓再性能が劣化している可能性があることである。腎不全ラットさらには長期透析患者から間葉系幹細胞を樹立し、健常者との比較を行っている。その中で腎臓再生に重要な遺伝子の発現低下が確認された。今回はその結果の報告と、それを克服する為の新たのストラテジーを提示し、広く透析患者に適応可能な腎臓再生法の可能性を報告したい。

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