演題情報

シンポジウム

開催回
第59回・2014年・神戸
 

保存期からできる透析導入後の動脈硬化進展予防は

演題番号 : SY-02-3

常喜 信彦:1、浅川 貴介:1、長谷 弘記:1

1:東邦大学医療センター大橋病院 腎臓内科

 

【腎機能の低下とともに増える心血管イベント】CKDのstageが進むとともに心血管イベントの発症が増える。報告を確認してみると、欧米に限らずわが国でも認められており、世界共通の現象である。腎機能の低下とともに促進的に進行する動脈硬化もその一因と考えられる。【3つの動脈硬化】動脈硬化は、病理学的に分類すると内膜病変であるアテローム性動脈硬化、中膜が病変の主体であるメンケベルグ型の中膜石灰化、そして細動脈硬化の3つに分類される。腎機能低下とともにイベントが増えていくことを考慮すれば、それぞれの動脈硬化も腎機能の悪化と並行して悪化する考えたくなる。【腎機能低下とアテローム性動脈硬化】透析医療の現場で話題に上がるメンケベルグ型の中膜石灰化はCa/P代謝異常もその進行に深くかかわり、CKDstageの前半よりもCKDstage4-5といった後半に顕著に進行すると考えられている。一方、急性冠症候群の主原因であるアテローム性動脈硬化は、CKDstage3までに成熟し、CKDstage4-5では粥腫内性状の変化が起こっている可能性が示唆されている。健常人では有益とされる薬剤の効果がCKDstage4-5現れにくくなるのも、こういった現象を反映しているのかもしれない。【時代の変化、診療の変化から見えてくること】時代の変遷と治療効果や疾患合併率の変化の関連が報告され始めている。たとえば透析患者の心筋梗塞発症後の1ヶ月予後はここ20年で劇的に改善している。すなわち時代の変遷と診療の変化内容を検証することでCKD患者の動脈硬化対策のヒントがつかめるかもしれない。我々の解析では、この20年間で透析開始時の有意冠動脈狭窄病変合併率は劇的に低下してきている。並行して腎臓病患者へのRA系阻害薬、ESA製剤、スタチンの使用率が急増している。同時に時代とともに脂質代謝異常と炎症データの改善傾向を確認している。 国民の健康への意識変化、診療内容の変遷によりCKD患者のアテローム性動脈硬化は改善傾向を示している可能性がある。今後はどのstageから何をターゲットに、どの薬を選択するかが求められるのかもしれない。

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