学会・委員会企画
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JSDTガイドラインの今後の方向性 演題番号 : GI-01-5 政金 生人:1 1:矢吹病院 腎臓科
【背景】日本透析医学会は2004年から2013年までに、改定も含めて10編の和文ガイドラインを策定し、うち8編は英文化されて世界に向けて発信されている。体系的なガイドライン作成はK/DOQIやERA/EDTAがわが国より先行していたが、それらガイドラインの数値をそのまま適応せず、わが国の透析医医療の実情に合わせたガイドラインの策定を試みてきた。しかし近年、EBMの正確に意味するところが明らかになり、ガイドラインの作成方法やエビデンスの評価と推奨度の決定プロセスに関しての要件が厳格になり、JSDTガイドラインの問題点が指摘されてきた。
【整備すべきガイドライン作成要件】今後JSDTガイドラインの評価を高めて、諸外国に発信していくためには以下の点を整備していく必要がある。 1.ガイドライン新規作成、改訂作業の発議決定 2.ガイドラインパネルの選定、COIの扱い 3.ガイドラインパネルと論文検索チームの分離 4.GRADEシステムなどに準拠したエビデンス評価法と推奨度決定プロセスの透明化 5.エビデンス評価、推奨度評価を行える人材育成 6.ガイドライン草案からガイドライン完成までの審議過程の明確化 7.ガイドラインフォーマットの確定 8.ガイドライン公表・英文化の手順の明確化 9.関心領域におけるガイドラインの構造 【まとめ】ガイドラインに求められるものは、臨床上の一つの岐路に立ったときに、その時々の状況に適った治療方法を選択する支えとなることである。その意味ではシングルイッシューそれぞれがガイドラインといえる。これまでのJSDTガイドラインはどちらかというと、関心領域のすべてを網羅した教科書あるいはハンドブック的色彩が強く、このことがGRADEに準拠したガイドライン作成への取り組みを困難にしてきた。しかし、ガイドラインを巡る世界の趨勢を見据えた場合、これまでのJSDTガイドラインの方向性は修正しなければならない局面を迎えている。本セッションでは上記ポイントの最新の整備状況と将来のJSDTガイドラインの方向性について論じる。 |
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