演題情報

教育講演

開催回
第59回・2014年・神戸
 

長時間透析・深夜透析の効果と課題を考える

演題番号 : EL-20

喜田 智幸:1、坂井 瑠実:1

1:(医)坂井瑠実クリニック

 

毎回の透析を無症状で、長期的には合併症を減らしQOLの高い生活を送るためには長時間および頻回に透析を行うことが有効である。しかし週3回4時間の透析でも通院、待ち時間等を含めると拘束時間はとても長く感じられる。患者が少しでも多く自分の自由な時間を確保しながら十分な透析を可能とする方法として、施設での深夜血液透析と在宅血液透析がある。
長時間透析における生命予後の改善については、長時間透析を行うことで体液のコントロールが容易になり、心負荷が軽減されることが主な理由とされている。また、尿毒症物質が十分に除去にされることも生命予後の改善に関わっている。当院の血液検査での検討では、クレアチニン、尿素窒素、尿酸は、通常の透析に比べ長時間透析群で有意に低値であった。炎症関連の物質では、β2-MG、IL-6、ハプトグロビンが長時間透析群で低値を示したが、CRP、TNF-αには差がなかった。骨・ミネラル代謝関連では、リンとFGF-23は長時間透析群で有意に低値を示したが、カルシウム、オステオカルシン、BAP、i-PTHは差がなかった。栄養関係では、アルブミン、プレアルブミンとも差がなかった。脂質、アポ蛋白では、値そのものには差はほとんどなかったが、動脈硬化などのリスクの指標といわれているLDL-コレステロール/HDL-コレステロール比とApoB/ApoA1比は、長時間透析群で有意に低値を示した。長時間透析は、慢性炎症を改善し、血中リン、FGF-23も低下させ、栄養状態、脂質代謝も改善させていた。これらは、動脈硬化や血管石灰化などのリスクを下げ、生命予後を改善させると考えられる。
ところで連日透析を行うことは、尿毒症物質を多く除去することができるが、必要な物質も過剰除去してしまう。本邦で市販されている透析液は施設透析患者のための組成になっている。この透析液をそのまま連日透析に使用するとカリウム、カルシウム、リンなどが過剰に除去され、低カリウム血症や、低カルシウム、低リン血症とそれに伴う骨量減少などの合併症をきたす可能性がある。特に夜間長時間連日透析では、これらの過剰除去対策のため、透析液カルシウム濃度を上げ、リンを添加することを勧める報告もある。

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