演題情報

教育講演

開催回
第59回・2014年・神戸
 

透析患者を理解・支援するための看護理論―病みの軌跡-

演題番号 : EL-05

下山 節子:1

1:NPO法人日本看護キャリア開発センター

 

看護とは、という問いに対し、看護の本質とは何か、を探る。そしてその本質を説明するものが看護理論であろう。看護は「実践の科学」といわれるように、看護実践が中心の学問である。透析看護の現場にいる看護者たちが、日々の看護ケアを通して、そこにある看護を意味づける時、看護理論は多くの示唆を与える。従って、看護理論は机上の空論ではなく、実践により接近したアプローチとして、現場の看護者たちが看護実践に活用できるものでなくてはならないものである。看護理論には、大理論、中範囲理論があるが、「透析患者を理解・支援するための看護理論」と、対象を限定する場合は、中範囲理論の活用に多くの示唆がある。「透析患者を理解・支援する」という看護実践を、系統的に説明できる中範囲理論として「病みの軌跡」理論がある。「病みの軌跡」理論は、1992年に米国の看護学博士コービン(Corbin,J.F.)と社会学者ストラウス(Strauss,A.L.)らが提唱した理論である。慢性の病気を持って生きるとはどういうことなのか、長年の調査を基に生み出された概念である。「病みの軌跡」では, 慢性の病気は長い時間をかけて多様に変化していく一つの行路(course) を持ち、軌跡の「局面移行」 は, 慢性の病気がその行路を経るときのさまざまな変化を表している。また、「病みの軌跡」理論は、病気の「慢性性」の特徴を捉え、患者だけでなく、家族にも着目することの重要性を示している。「軌跡」は 過去を振り返ったときにはじめてわかるといわれており、透析患者やその家族が長い期間、どのように慢性腎不全と共に生きてきたのか、透析を導入したことで、どのように生活を編み直したのか、どのような折り合いをつけて長い間過ごしてきたのかその体験世界を「語り」「聴く」ことの重要性を示唆する理論が「病みの軌跡」理論である。そして病みの軌跡という考え方は, 慢性病領域における実践と教育および研究の方向づけとなると提言されている「病みの軌跡」理論は、透析看護を実践する上において、透析看護とは何か、その看護の本質に立ち戻らせてくれる理論であり、透析患者の自立を支援し、個別性を大切にできるひとつの理論といえる。

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