演題情報

教育講演

開催回
第59回・2014年・神戸
 

透析患者の足を守る方策を考える

演題番号 : EL-04

飯田 修:1、上松 正朗:1

1:関西労災病院 循環器内科

 

透析患者の合併症管理において、約半数は心血管死であり、心血管障害に対する対策は重要な課題である。JSDT「血液透析患者における心血管合併症の評価と治療に関するガイドライン」には、心血管合併症として、心臓、脳に加えて、下肢の末梢動脈疾患(PAD)にも言及されている。
透析患者の末梢動脈疾患は、非透析患者に比べその罹患率は高く、臨床症状による頻度は15~23%、ABI<0.9をPADとした場合、16~38%ほどに認められる。また、症状としては、間歇性跛行を伴わない場合がほとんどで、初発が潰瘍、壊疽を伴う重症下肢虚血(CLI)が多い。さらに、透析患者は、下肢を切断すると、その予後は非透析患者に比して悪く、切断部位が高位になるにつれて、切断後のADL維持が困難になる。
足を守る方策については、まず早期発見が重要であろう。そのためには、ガイドラインの記載の通り、ABIを少なくとも年1回測定することが推奨されるが、透析患者においては、無症状であることや、症状があってもABI評価では正常(偽陰性)な場合が多いため、他の検査を組み合わせて評価することが重要である。中でも皮膚灌流圧(SPP)による評価は透析患者のPADスクリーニングには有用である。
PADに対する治療において、特に壊疽・潰瘍を合併するCLI症例に対しては、最優先の治療は血行再建術(外科的バイパス術・カテーテルによる血管内治療)である。しかし、透析患者のPADは、その責任病変が下腿単独病変による症例が多いため、治療に難渋することも少なくない。さらに、外科的バイパス術においては、周術期合併症の頻度が高いこと、カテーテル治療はその成績は向上しているものの、再狭窄率が高いことなどにより、再治療が必要となる。血行再建術の補助療法として、LDLアフェレシスも透析患者のPAD治療において必要な治療であろう。また、血行再建後の専門的な創傷治療も組み合わせることで治療成績の向上が期待できる。
本講演では、ガイドラインのステートメントや実臨床の経験から、透析患者の足を守るための方策について述べる。

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