演題情報

ベーシックセミナー

開催回
第59回・2014年・神戸
 

慢性腎臓病症例における貧血関連検査の考え方と治療のこつ。

演題番号 : BS-06-4

倉賀野 隆裕:1

1:兵庫医科大学内科学 腎・透析科

 

多くの慢性腎臓病患者が貧血を伴い、その治療を受けている。ただし慢性腎臓病症例における貧血は腎性貧血, 鉄欠乏性貧血, 慢性炎症に伴う貧血等が混在した状態であり、診断, 治療のタイミング, 治療方法の選択に難渋する事がある。腎性貧血とは、腎機能低下に伴い、近位尿細管周囲間質に存在するエリスロポエチン(EPO)産生細胞から貧血に見合うEPO産生が低下する事により生ずる貧血である。よってHb値を基準とし血中エリスロポエチン濃度を参考に、他の貧血にいたる原因疾患(鉄欠乏、出血、感染症、炎症、血液疾患)が該当しないケースを腎性貧血と診断しているため基本的には除外診断となる事が多い。更に慢性腎臓病における鉄欠乏の診断は、2008年度版慢性腎臓病患者における腎性貧血治療ガイドラインでは、トランスフェリン飽和度(TSAT)と血清フェリチン濃度を標準的検査とし、TSAT 20%以下及び血清フェリチン値100ng/mL以下を鉄欠乏状態と推定し、鉄補充療法の開始基準としている。しかし上記の基準を下回っていても有効な造血が得られるケースもあり、慢性腎臓病患者における鉄欠乏性貧血の明確な診断基準は明らかにはなっていない。よって単純にフェリチン値とTSAT値のみで鉄欠乏とは診断出来ず、ヘモグロビン(Hb)値や現在のEPO投与状況などの配慮も必要となる。更に貧血改善が思わしくない症例に関しては、網状赤血球や可溶性トランスフェリン受容体等を用いて、投与されたEPO製剤や鉄剤が有効な造血に使用されているかの確認も必要となる。本セミナーでは貧血を伴う慢性腎臓病患者の血液検査結果の考え方について具体的に述べたい。

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