演題情報

ベーシックセミナー

開催回
第59回・2014年・神戸
 

血液検査データ値からより深い情報を得る方法

演題番号 : BS-06-2

新里 高弘:1

1:大幸医工学研究所

 

透析患者では、血液検査データの種類によっては、素データ値からそのデータが本来もつ生理学的意味よりもさらに深い意味を引き出すことができる。例えば、血清尿素濃度からはnPCR、血清リン濃度からはリン摂取量、血清クレアチニン濃度からは筋肉量、任意の時点の血液ヘモグロビン濃度からは目標ヘモグロビンの濃度を実現する赤血球造血刺激因子製剤(ESA)の投与量が得られる。このように、素データ値からその値が本来もつ生理学的意味よりもさらに深い意味を引き出すに当たっては、動態モデルの解析が極めて有用である。
目標ヘモグロビン濃度を達成するESA投与量を算出する場合を除いて、動態モデルの解析の目的は問題とする物質の産生量を求めることである。その際、問題とする物質の透析による除去量を求めることが重要なステップとなる。例えば、透析による尿素の除去量が算出できれば、その除去量の下で実測血清尿素濃度を実現するのに必要な尿素産生量(尿素産生量はタンパク摂取量に変換される)も算出できる。透析によるクレアチニンの除去量が算出できれば、その除去量の下で実測血清クレアチニン濃度を実現するために必要なクレアチニン産生量(クレアチニン産生量は筋肉量に変換される)も算出できる。また、透析によるリンの除去量が算出できれば、リン除去量とリン摂取量との関係を示す式からリン摂取量が算出できる。今回のセミナーではそれぞれの物質の除去量を算出する方法についても解説したい。
目標ヘモグロビン濃度を達成するESAの投与量もアルゴリズムによるのではなく、ヘモグロビンの動態モデルを解析することにより正確に求めることができる。同じヘモグロビン産生速度が3か月間(=ヘモグロビンの寿命)以上続けば、当該ヘモグロビン産生速度に応じたレベルの血液ヘモグロビン濃度が安定して続くようになる。この安定して続くヘモグロビン濃度が目標ヘモグロビン濃度であるようなヘモグロビン産生速度を算出し、かつ、すでに報告されているヘモグロビン産生速度とESA濃度との関係を利用すれば、目標ヘモグロビン濃度を達成するESAの投与量を算出できる。

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