演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

透析患者のフットケア

演題番号 : YW-19-2

西田 壽代:1

1:足のナースクリニック

 

看護師が透析患者に提供するフットケアで最も大切なのは、足に異変が現れる前に、患者に足の大切さを伝え、生活の中でケアが習慣化されるよう、根気強く患者に付き合っていくこと、異変を早期に伝えてくれるよう患者との信頼関係を確立すること、そして異変が出た場合、できるだけ早期に適切な診療科に指示判断を仰ぐことにある。施設によっては足をみるに足る診療科を持ち合わせていないところもある。そのため、血管治療や創傷管理等を適切に行うことが出来る専門施設との地域連携が不可欠である。なぜなら、透析患者の足は、特有の血管の石灰化や免疫能の低下、皮膚の脆弱化等、複雑な病態を呈しているからである。 現在、透析患者の約半数は糖尿病腎症である。そのため、糖尿病に起因する神経障害や視力障害も視野に入れてケアを行う必要がある。また、透析患者はその技術の躍進により、高齢化の一途を辿っている。加齢に伴う巧緻性やその他身体機能の低下も見逃すことなくアセスメントを行う。 それに加え、自身への無関心や逃避等によるセルフケア自立への障壁も含め、こころを丸ごとケアすることも、非常に大切なポイントとなってくる。実はフットケアでの関わりを機に、何年もかけて指導してもできなかった禁煙行動や食事療法の是正といった行動変容に結びつくケースも認められている。それは、足を通してこころをケアすることにより、自分を大切にしてもらえている、認めてもらえているという感覚を覚え、自分で自分を大切にすることに価値を見出すことができるようになるからではないかと思われる。 これらとともに、靴やインソールといった医療的なフットウエアの介入も不可欠である。透析患者の特徴として、筋肉の萎縮により、足関節の可動域が狭まったり、足の変形が助長されることにより、足底の偏った部分に局所圧が集中し、潰瘍化する要因となっているからである。 足を守る上で、こうしたトータルアプローチは必要不可欠である。透析患者は足に爆弾を抱えて生きているのと同じである。重篤でたとえ治癒を目指せなくても、ほんの少しでも希望に結びつくケアを提供することが医療者の使命であり、そのきっかけとなるのがフットケアだと感じている。

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