演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

抑うつ、不安、怒り~理解と対応~

演題番号 : YW-14-2

堀川 直史:1

1:埼玉医科大学総合医療センター メンタルクリニック

 

透析患者にはさまざまな精神症状がみられる。そのなかでも、抑うつ、不安、怒りなどの感情症状は高い頻度で生じ、患者の苦痛も強い。これらは、腎不全・透析という病気、それによる多くの喪失体験とさまざまな脅威、自分がこの病気にかかったという運命の理不尽さなどに照応する感情である。感情症状の治療とケアの基本は通常の身体的治療とケアをていねいに行うことである。「ていねいな身体的治療とケア」は精神療法的にも非常に大きな意味をもっている。このことを医療者がはっきりと意識することも重要である。その上で、支持的精神療法、エンパワーメント・アプローチなどをケアに応用することを工夫する。支持的精神療法にはいくつかの意味があるが、その1つは、これが「非公式な精神療法的配慮」であり、すべての治療関係の基礎を作るという考え方である。主な技法は、傾聴、共感、患者の心理の健康部分を支えることなどである。これらの言葉は日常臨床で頻繁に用いられているが、意味は必ずしも明確ではない。そこで、これらの言葉の意味を考えることにより、実際の治療の進め方を解説し、「理解に基づく共感」が特に重要であることを述べる。また、透析における治療関係は「慢性疾患モデル」の治療関係であり、医療者と患者との協力的な関係の形成が不可欠である。このような治療関係を作るために有用な治療がエンパワーメント・アプローチである。これも多義的な言葉であるが、ここでは主にセルフケアに関する決定権を患者にゆずり渡すという医療者の姿勢と精神療法的な技法を意味するものとする。このようなエンパワーメント・アプローチについて、実際の技法を具体的に解説する。これによって、協力的な治療関係が生まれ、セルフケアレベルが上昇し、さらに患者の自尊心や自信が回復していくこともまれではない。

前へ戻る