演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

透析患者におけるrestless legs症候群の対応

演題番号 : YW-14-1

井上 雄一:1

1:東京医科大学 睡眠学講座

 

Restless legs症候群(RLS)は、下肢を中心とした不快な感覚と運動促迫を呈する病態である。近年では、日本でも一般人口の2-4%と高水準の有病率を示すことから、common diseaseであるとの認識が高まりつつあるが、この症状の存在は1800年代から知られていたものの、疾患の病態・治療研究が体系的に促進されたのは、1990年代以降のことである。これまでの研究で、ドパミン機能異常、鉄欠乏、遺伝素因(特に若年発症例)が病態に関与していることがわかっている。 RLSは、上記の運動促迫(じっとしていられない感じ)が夜間就床時にピークに達するため、不眠を呈することが多い。症状は動かしていると楽になるので、夜間耐えきれずに歩きまわる患者も少なくない。RLSは、これらの症状を問診により確認することで診断可能だし、適切な非薬物的対応(鉄欠乏の是正、誘発物質であるカフェイン、ニコチン、アルコールを避けることなど)と薬物治療(主にドパミン・アゴニストないしは抗けいれん薬)を組み合わせることにより大半の症例で改善が得られる。RLSは、腎障害特に透析患者では一般人口に比べて著しく有病率が高い(20%以上)ことが知られており、おそらくは尿毒症物質の何かが、発症に関与していると推測されている(原因物質は特定されていない)。透析患者でのRLSは、透析開始直前から開始後5年以内に起こることが多い。特発性RLSにくらべて腎障害による二次性RLSでは、症状が重症なことが多く、周期性四肢運動(反復性の足関節の背屈運動)が高頻度になりがちであるという特徴を有する。また、夜間就床時のみならず、透析実施中にも出現するために苦痛を感じることが多い。透析患者でのRLSにおいても、ドパミン・アゴニストは重要な治療薬であるが、この群の中で腎排出性の薬剤は避けなくてはいけない。また、薬剤投与のみならず透析効率の改善、随伴する鉄欠乏への対応(血清フェリチンを40ng/ml以上に保つ)も図る必要がある。RLSは、透析患者のQOL悪化、抑うつ症状発現要因になりうるので、診断・治療を促進すべきであろう。

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