演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

かゆみの原因と新しい治療薬ナルフラフィン

演題番号 : YW-12-2

熊谷 裕生:1

1:防衛医科大学校 腎臓内科

 

【かゆみの原因と対策】かゆみは多くの維持血液透析患者に見られ、難治性の重要な疾患である。新潟大学の下条教授、成田教授のグループは2500人の維持透析患者を調査し、40%の患者が中等度から強度のかゆみを訴えていること、13%の患者に睡眠障害があることを報告した。しかし,透析患者のかゆみは原因がわからないために、これまで効果のない抗ヒスタミン薬や外用ステロイドが漫然と投与されていた。 かゆみの原因として透析量不足により尿毒症物質が貯留している場合があるので、透析量を増やすことが大切である。Ca、リン、PTHが高すぎることも原因となるので、ガイドラインに沿う値に収まるように、食事指導、リン吸着薬、ビタミンD、シナカルセトを適切に使用することも治療となる。ダイアライザーや回路、滅菌法の変更も有効である。 皮膚の乾燥は、透析患者のかゆみの大きな原因である。乾燥によりかゆみを脳に伝える神経が皮膚の近くまで伸びてしまい感受性が高まるのである。対策として皮膚に湿気を与えることは大切なので、これまで以上に多く風呂に入るとか、保湿薬はつづけていただきたい。 【あたらしいかゆみ止め薬ナルフラフィン】「透析患者さんのかゆみの機序を解明し、何とか治したい」という強い願いをもって、わたくしどもは内因性オピオイドに着目し,「内因性μペプチド対κペプチドの比」がかゆみの強さと相関することを示した。さらに、新しいカッパ(κ)受容体作動薬ナルフラフィンを,既存治療が効かないかゆみを有する全国の血液透析患者337例に2週間経口投与し、プラセボを置いた二重盲検臨床試験において前向きに評価した。その結果、ナルフラフィンにより、プラセボと比較してvisual analogue scale(VAS)で表されるかゆみの強さは、有意に抑えられた。 この薬は2.5 μgソフトカプセルとして、現在1万5000人の患者さんに服用されており、服用している患者の70-90%でかゆみが改善または消失している。副作用として寝付きづらい感じがあるが、透析日は透析直後、透析のない日は朝に内服してもらうとこの副作用があまり問題にならず、内服を継続できる。

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