演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

SAS

演題番号 : YW-12-1

小池 茂文:1,2,3

1:豊橋メイツ睡眠障害治療クリニック 睡眠科、2:豊橋メイツクリニック 透析療法科、3:愛知医科大学 睡眠科

 

透析患者に睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome: SAS)が合併することは多くの文献で報告されている。透析患者のSASは、一般患者のSASと同じ原因に加えて、腎不全特有の原因が複合して起こる。SASで多く見られる疲労、意欲低下、抑うつ状態、認知および性機能の低下などの臨床症状は尿毒症の症状でもあるため、透析患者においてSASを自覚症状で見つけ出すことはかなり難しい課題といえる。透析患者にSASが多い理由として、腎不全もSASも高齢者に多い病気であり、その発症は年齢に依存し、男性に多い。腎不全では、透析緩衝液の影響、尿毒症の影響、透析間の浮腫の影響、アシドーシスの影響などによりSASの発症が増加する。また透析緩衝液が酢酸透析の時代には中枢型SASが多かったが、重炭酸緩衝液が主流の現在は圧倒的に閉塞型SASが多いことなどが報告されている。透析患者のSASの特徴として、透析患者では肥満患者が少なく、メタボリック症候群の患者は一般患者に比較し、著しく少ない。SASの有病率あるいは重篤度とBMI(肥満)とは全く関連がない。SASの合併頻度と透析方法との関連では血液透析、腹膜透析、夜間透析の間に明らかな差がない。またBUN、血清クレアチニン、ヘマトクリット、覚醒時の動脈血液ガス、透析指標などの生化学検査とSASとの相関も無いことなどが報告されている。透析患者のSASの頻度として、終夜睡眠ポリグラフ検査を用いた論文ではSASは53.3~88.9%と高頻度の合併が指摘されている。一方、簡易診断装置では約30%前後と著しく低い。透析患者のSASの予後に関しては現在報告は無い。しかし2010年Tangらにより、SASは腹膜透析患者での心血管病の有病率と死亡の新しい危険因子であることが報告されている。他にも夜間低酸素は透析患者の予後に影響することが報告されている。透析患者のSASも予後に影響する可能性が高いと考えられる。【まとめ】透析患者のSASは高頻度に認められるが、自覚症状に乏しい。原因は一般患者のSASと同じように年齢に依存するが、生活習慣病による影響は少なく、尿毒症(腎不全)による影響が強く関与している。透析患者のSASや睡眠中の低酸素は予後に影響する可能性が高い。

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