演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

アルブミンと蛋白結合毒素の蓄積への対策

演題番号 : YW-10-2

阿部 貴弥:1、丸山 徹:2、藤岡 知昭:1

1:岩手医科大学附属病院 血液浄化療法部・泌尿器科、2:熊本大学 薬学部 医療薬剤学

 

アルブミン(ALB)は膠質浸透圧維持作用のみならず物質輸送作用を有しており、この作用はALBの非特異的に様々な物質を結合させる能力(多分子結合能)に由来している。ALBは薬剤や金属と結合し、運搬するだけでなく、薬効の安定化、副作用の軽減作用、金属によるラジカル産生の防止作用などの抗酸化作用や酸化還元緩衝作用が発揮される。  血液浄化技術の進歩に伴い、β2-ミクログロブリン(β2-MG)など低分子蛋白領域まで除去可能となった。しかしALB結合性毒素(albumin binding toxins:ABT)は、ビリルビン(分子量:584)やインドキシル硫酸(IS。分子量:251)など小分子量領域物質であっても除去困難である(β2-MG除去率:71.0±6.1%、IS除去率:38.8±13.7%)。そのため透析患者においてABTが蓄積し、骨のPTH抵抗性や動脈硬化の促進など悪影響が報告されている。またABTがALBに結合することにより、ALBの抗酸化作用や酸化還元緩衝作用などのALB本来の作用が阻害されている。  ビリルビンが蓄積した肝不全時には、血漿交換など非選択的に除去する治療が行われるが、ISが蓄積した透析患者に対しては、有効な除去方法が確立されていないのが現状である。透析患者におけるISの蓄積に対し、経口球形吸着炭やProbioticsによるIS低下が試みられている。また血液浄化法の分野ではALBがリークするような透析膜の使用などが試みられている。肝不全の治療法としてmolecular adsorbent recirculating system(MARS®)などALB透析(extracorporeal albumin dialysis:ECAD)が、ABTを選択的に除去する新しい血液浄化療法として確立されつつある。このECADはALBの多分子結合能を吸着材(吸着の原理)として応用した治療法で、従来の重炭酸透析液にALBを添加したALB透析液と高性能血液透析膜を用いた体外循環療法であり、ABTを効率よく、選択的に除去することが可能である。ECADはABTを体内から除去するだけでなく、抗酸化作用や酸化還元緩衝能など本来のALBの作用を復活させ、全身状態を改善することが目的である。  今後、ECADの末期腎不全への臨床応用やABTをリアルタイムかつ簡便に測定する方法の確立などが必要である。

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