演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

リン吸着剤

演題番号 : YW-9-1

小岩 文彦:1、西脇 宏樹:1、河嶋 英里:1、吉村 吾志夫:1

1:昭和大学藤が丘病院 腎臓内科

 

わが国では2009年末現在74.6%の維持透析患者が何らかのリン(P)吸着薬を投与されているものの、23%は血清P値が管理目標値の上限である6.0mg/dl以上を呈している。透析患者において適切なP管理は異所性石灰化や、心血管系合併症の軽減、予防のみならず患者予後の改善に不可欠である。わが国では現在3種類のP吸着薬があり、Ca含有薬である炭酸Ca(CC)とCa非含有薬である塩酸セベラマー(SH)、炭酸ランタン(LC)に大別される。P吸着薬の選択に当たって考慮すべき点は、P、Ca値とシナカルセト塩酸塩(シナカルセト)や活性型ビタミンD製剤(VDRA)などの併用薬剤である。 CCはCa負荷を伴うものの安価で高いP吸着力があり、わが国では第一選択薬となっているが、Ca含有に伴う心血管系石灰化への懸念から投与量に上限がある。また、PTH治療薬であるVDRAとシナカルセトはCa負荷の点で相反するため、両薬剤をCCと併用する際にはCa負荷を考慮して投与量を調節する必要がある。 SHとLCはCa負荷がない利点を有し、投与に際してはそれぞれの特徴や問題点を踏まえて選択するのが望ましい。SHは脂質代謝改善作用を有するが、石灰化や予後改善効果は証明されていない。最後発薬であるLCは最も強力なP吸着力を示すが、生命予後への影響は不明で、長期安全性や心血管系、骨への影響も今後の検討課題である。これらの薬剤単独で管理困難な高P血症ではCCとの併用も有用であり、CCとSHの併用が現時点では最も多い。しかし併用でも効果不十分な場合には服薬状況の確認、食事療法の再評価や指導、透析療法によるP除去量の見直しをおこなう。  今後改訂されるわが国のガイドラインでもP管理はCa管理と並んで最優先項目である。VDRAはP値の達成に応じて増減する必要があり、シナカルセトもPTHだけでなくP、Ca管理にも影響する。そのため、P、Caの管理状況に応じて複数の薬剤を適切な順位で調節するのが望ましい。さらに、それぞれのP吸着薬の特徴や副作用、問題点を理解した上で選択し、投与することが高P血症の減少に寄与すると思われる。

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