演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

現状と問題点

演題番号 : YW-7-1

春口 洋昭:1

1:飯田橋春口クリニック

 

わが国では自己血管内シャント(AVF)の割合が約90%であり、諸外国と比較してもAVFの割合が高い。K-DOQI、EBPG、JSDTいずれのガイドラインでもAVFを第一選択としており、我が国のバスキュラーアクセス(VA)の現状は誇りうるべきものと考える。しかし、高年齢化と糖尿病性腎症の増加に伴い、AVF作成困難な症例が増えてきており、以前と比べるとトラブルの割合も増加しているのも事実である。トラブルに対する治療としては、インターベンション治療が飛躍的に普及してきている。従来の「閉塞してから治療」という考え方から、「閉塞する前に治療」という考え方に変わりつつある。それに伴いVA管理法も変化しており、血流量や再循環率、静脈圧などのモニタリングが重要となってきている。インターベンション治療には「いつ介入するか」に関する明確な答えがない。脱血不良や静脈圧上昇といった明らかな症状がなくても施行される、いわゆる「予防的なPTA」は、医療経済を含めて再考しなければならない。医療経済的には、PTA後の再狭窄予防への取り組みも必要である。シャントは「非生理的血流」であるため、動脈における再狭窄とは病態が異なり、シャントに特化した再狭窄の病態解明が望まれる。AVFは現在のところもっとも推奨されるVAではあるが、非生理的血流から生じる血流過剰やスティール症候群は大きな問題となっている。血流過剰は単にシャント血流量だけにとどまらず、患者の心予備能を考慮して議論されるべきであるが、今のところ明確な指針がなく、今後エビデンスを重ねて心予備能とシャント血流量の関係を明らかにすることが重要となる。心負荷のかからないVAとして、長期型の透析カテーテルが普及してきており、現在は一定の理解が得られている。ただ、感染や閉塞に対する管理法が確立されておらず、緊急の課題として考えるべき問題も多い。高齢化や透析の長期化に伴い、透析医療は従来とは異なる考え方を模索すべき段階に差し掛かってきているが、VA管理法も例外ではない。

前へ戻る