演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

モニタリング技術の進歩

演題番号 : YW-5-1

山本 健一郎:1、峰島 三千男:1

1:東京女子医科大学 臨床工学科

 

システムを理解するために必要な最も基本的な技術が計測であり、この計測を継続的に実施しリアルタイムに状況を把握するのがモニタリングである。さまざまな現象や状況を理解するためだけでなく、理論や仮説を検証するためにも欠かせない手法である。血液透析の分野においても、計測およびモニタリングの重要性は例外ではなく、患者の状態や器械・装置の稼動状況を把握し安全性を確保することはもちろん、透析器や新規な治療法の開発においても各種モニタリング技術の利用が不可欠である。科学技術の進歩とともに従来では監視し得なかった種々の生体情報や装置情報のモニタリングが可能となっている。 例えばその一つが超音波ドップラーを用いた血流量測定による内部濾過流量の推定である。近年、大分子量物質を積極的に除去する手段として、内部濾過と呼ばれる現象を意図的に促進させる設計が施された透析器が開発され臨床使用されている。しかし、実際に生じている内部濾過量を簡便に測定する方法はなく、圧力データをもとに推算するのみであったが、超音波ドップラーを用いることでこれを定量化することが可能となった。適切な内部濾過流量が得られているか、膜のファウリング状態などを把握するのに役立っている。 また、モニタリング技術の進歩は従来では測定できなかった透析中の循環血液量(BV)を監視することを可能とし、これにより透析中には約10~20%に及ぶBVの減少が生じていることが明らかとなった。過度のBV低下は末梢循環不全(物質交換低下)を惹起し下肢の冷感や筋痙攣などをしばしば引き起こすが、BVモニタリングによりこれを回避するための治療条件の確立が可能となってきている。 本講演では、超音波ドップラー法を用いた内部濾過流量の推定法や血流モニタリング(クリットライン)など血液透析の発展に寄与するモニタリング技術について概説したい。

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