演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

血液浄化療法

演題番号 : YW-2-2

松田 兼一:1、針井 則一:1、柳沢 政彦:1、原田 大希:1

1:山梨大学医学部 救急集中治療医学講座

 

1945年,オランダのKolff先生が,急性腎不全(acute renal failure,ARF)患者に血液浄化療法(blood purification,BP)を施行し,世界で初めて救命して以来,数々のBPが開発され臨床応用されて来た.では, BPの発展・臨床応用によってARFの致死率は果たして改善されたのだろうか?近年ARFの致死率に関するいくつかの報告がなされているが,ARFの致死率は期待されたほど低下していない.この理由の1つに,ARFの定義が統一されておらず,治療法も標準化されていないことが挙げられている.そこで,世界においてはARF症例の致死率を低下させる目的で, ARF治療に対する標準化の気運が高まっている.しかし,現実的には,いつからBPを開始するか,持続的BPと間欠的BPのどちらが有用か,血液浄化量は大きい方が良いのか否か,血液浄化器の膜素材によって臨床効果は異なるのか,など多数の争点が挙げられ,未だ明解な回答が得られていない.本講演ではこれら争点における世界の潮流についてわかりやすく解説する予定である. さらに一方で,ARFの致死率を考えること自体に違和感を覚えるのは私だけであろうか?ARFに対してBPを施行する限り,腎不全死することはあり得ないとは言えないだろうか?実際,日常臨床においてARFそのものに起因して死亡する症例に遭遇することはまれである.実は,ARFを発症した症例がARFそのもので亡くなるのではなく,ARFを発症した原因疾患によって亡くなるのではないだろうか?極論すればARF症例はARFのみによっては亡くならない.故にBPによってARFの致死率を低下させる試みは,とりもなおさず,ARFの原因疾患をBPによって治療しようとする試みと言い換えることができるかもしれない.本講演の後半部分では,BPによるARFの原因疾患の治療,いわゆるBPのnon-renal indicationにおける世界の潮流についてわかりやすく解説する予定である.

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