演題情報

よくわかるシリーズ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

AKIの診断基準とその運用について

演題番号 : YW-2-1

野入 英世:1

1:東京大学医学部附属病院 血液浄化療法部

 

急性腎不全は急激な腎機能の低下(数時間から数日)に伴う、尿毒症や電解質異常などの症状や結果として患者の死亡につながる病態であり、現在においても腎臓病領域で最も重篤な疾患である。急性腎不全は20世紀初頭の戦争関連疾病としてのcrush syndromeにおいて数多く発症し、その治療法としての血液浄化療法が朝鮮戦争当時に出現した。この治療法は目覚ましいものであったが、その後半世紀以上を経て急性腎障害治療をターゲットとした薬剤の開発は成功していない。急性腎不全は非常に多様な疾患で、その診断は主に血清クレアチニン値により実施されるが、その基準は報告によりまちまちで既報告を調査すると30以上の微妙に異なる定義があることがわかる。また、急性腎不全における血清クレアチニン値の反応は24~48時間を経てこれを反映することや、急性疾患では病態が時々刻々と変化するためクレアチニン・クリアランスや推定糸球体濾過量が役立たないことなどが病態把握を難しくしている。そこで、より早期に病態を発見すると共に、病態を層別化して解析することを目的として診断基準が提唱された。また、これに伴い急性腎不全に至る早期の過程を含めて新たに急性腎障害(Acute Kidney Injury, AKI)という呼称が提唱された。本抄録を作製しているタイミングでは、RIFLEとAKINの二つの基準が国際的に運用されているが、さらにこれらの弱点を補う形で二つの基準を統合した新たな基準をKDIGOが提唱する目途がほぼたっている。そのような現状を踏まえて、本講義では、AKI診断基準とその運用について種々の角度から解説し、幅広い理解を促したいと思う。

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