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開催回
第56回・2011年・横浜
 

透析患者のDry Weight減少は生命予後に危険を及ぼす~エネルギー摂取量を確保する必要がある~

演題番号 : WS-10-5

藤田 寿実子:1、北林 豊文:1、半羽 慶行:2、重松 隆:2

1:和歌山透析研究会 栄養士部会、2:和歌山県立医科大学 腎臓内科・血液浄化センター

 

【背景・目的】昨年の本学会では透析(HD)患者の血清リン(P)値は蛋白摂取を反映しているとみなし,血清P値別に血清アルブミン(Alb)値と他の検査値との関連性をみた結果,血清Alb値を良好にしたうえでは血清P値を低くすることが重要であることを報告した.今回HD患者のDry Weight(DW)減少はエネルギー摂取不足であると推測し,HD患者の血清P値別にDW変化率(ΔDW)と他の検査値との関連性をみて生命予後改善を検討する. 【対象・方法】2006年HD患者419例の年間平均血清P値,および年間ΔDWつまり(12月のDW-1月のDW)/1月のDW×100を求めた.P<5.0mg/dLを低P群,P≧5.0mg/dLを高P群としそれぞれの群でのΔDW-群とΔDW+群の比較を行った.そしてこれら患者を3年半追跡したのち死亡例と生存例とに分け,ΔDW別にKaplan Meier解析,および全患者においてロジスティック回帰分析を行った.さらにΔDW-群の患者と全死亡患者についてはDWの変化をその後も追跡した. 【結果】低PでΔDW-群の患者の年間死亡率は12.0%,高PでΔDW-群では7.3%と高かった.低P群でのΔDW-群はΔDW+群に比べ年齢,CRPは有意に高く,BUN,Alb,Kt/V,nPCR,HD時間は有意に低かった.高P群でのΔDW-群はΔDW+群に比べCRPは有意に高く,BMI,Albは有意に低かったが他は変わりなかった.またKaplan Meier解析を行った結果ΔDW-群で有意に生存率が低下した.ロジスティック回帰分析でもΔDWが増加するほど有意に死亡率が低下する結果となった.さらにΔDW-群の患者と全死亡患者のDWは年々減少していく傾向となった.実際可能な患者において食事摂取量調査を行った結果,ΔDW-群の患者は蛋白摂取も含めエネルギー摂取不足である傾向となった.また高PでΔDW-群の患者は薬剤服用率も悪い傾向がみられた. 【考察・結論】今回低PでΔDW-群の患者は低栄養であることはもちろんのこと,高PでΔDW-群の患者は蛋白摂取はしているもののエネルギー不足であることが考えられた.今後HD患者においては導入期ひいては保存期のうちから適切なエネルギー,蛋白摂取を指導する必要性が示唆される.

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