演題情報

ワークショップ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

追加発言) 動静脈吻合後の静脈閉塞に関する動物実験アプローチ

演題番号 : WS-7-8

高橋 正人:1、増田 弘毅:2、堀口 幸夫:3

1:秋田大学医学部 器官病態学講座、2:雄勝中央病院 検査科、3:明和病院 透析室

 

我々の教室は長年にわたり、実験動物を対象に動静脈吻合(AVF)を作製、動脈再構築に関する基礎研究を行ってきた。その基盤は19世紀後半Thomaにより示された動脈の内径拡大は血流増大に依存するという事、そして後にKamiya & Togawaにより示された動脈径は壁ずり応力が常に一定となるように調節されているという理論に基づいており、血流量変化による血管再構築を解析することによってのみ血管の本質を知り得ると考えているからである。一般に生理的に血流を変化させる方法としてはAVFと動脈狭窄が行われ、前者では動脈の拡張と延長が起き、後者では動脈狭窄後拡張が起きる事が知られている。しかし、我々を含め世界中で静脈と血流に関する基礎研究はほとんど行われて来なかった。我々のAVF実験では、手技による失敗が無い限り、静脈は全体的に拡張していた。唯一、犬で3年にわたる長期間AVF後に静脈の閉塞を観察したのみである。堀口は長年の臨床経験から、静脈は動脈とは違い、高壁ずり応力に曝されると内膜肥厚が生じ狭窄そして閉塞してしまうのではないかと推測しており、その理論に基づき新しい埋め込み型vascular accessであるスマートアクセス(商標登録)を開発した。今回我々は、この推論が正しいと思われる実験結果を得られたので報告する。方法は、日本白家兎の総頸動脈と外頸静脈に側々吻合でAVFを作製、2週後にAVFの静脈頭側は結紮、静脈心臓側1cm部にベニューラ静脈留置針V1の外套と静脈を一緒に1.0糸で結紮、その後外套を取り除くことによる静脈狭窄を作製した。静脈狭窄術2週後AVFは開いていたが静脈狭窄部の完全閉塞を確認、屠殺後腹部大動脈から4%パラフォルムアルデヒドで灌流固定し組織標本を作製した。組織学的に、静脈閉塞部には動脈の内膜肥厚では通常見られることのない、外膜側から入り込んだと思われる毛細血管に富む内膜肥厚の形成がみられた。これは、犬AVF3年後の静脈閉塞部の内膜肥厚と類似のものであった。静脈には過剰な血流が流れた場合自ら狭窄、閉塞し、心臓に一度に大量の血流が戻ることの無いようにする機能が本来備わっているのだとすれば、この反応は理解しやすい。

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