演題情報

ワークショップ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

追加発言) バスキュラーアクセスに伴う上肢重症虚血に対する外科治療

演題番号 : WS-7-3

中村 隆:1

1:大阪労災病院 末梢血管外科

 

【目的】糖尿病性腎症および長期透析の増加に伴い、バスキュラーアクセス留置後の上肢重症虚血は無視できない問題となりつつある。上肢重症虚血に対しては内シャントを温存しつつ前腕への血流を改善させうるdistal revascularization-interval ligation(DRIL)の有用性が報告されている。しかしながら、本邦では未だ一般的な方法として認識されていないため、その有用性につき検討を加えた。 【方法】バスキュラーアクセスに伴う上肢重症虚血に対し、外科治療を施行した症例を後ろ向きに検討を加えた。上肢虚血の診断は臨床症状、手指血圧測定、超音波検査あるいは血管造影によって行った。患者背景、手術適応、動脈硬化危険因子を同定後、バスキュラーアクセスおよびDRILバイパスグラフトの開存率、救肢率、生存率について検討を加えた。 【結果】過去5年間に27名27肢の上肢重症虚血肢(女性17名、男性10名、平均年齢64.5歳、糖尿病合併16名)に対して治療を行った。バスキュラーアクセスは自己血管が26肢、人工血管は1肢であった。虚血症状がバスキュラーアクセス手術後早期に出現したのが11肢あった。9肢は肘関節以遠の高度病変のため手指の壊死性変化を示していた。外科治療の内容はアクセス閉鎖2肢、アクセス遠位側動脈結紮が5肢、DRILが18肢(静脈グラフト17本、人工血管1本)、手関節部へのバイパス術2肢であった。平均観察期間は20ヶ月で、バスキュラーアクセスの2年機能的一次開存率は63%、DRILグラフト一次開存率は90%であった。27肢のうち24肢(89%)は治療により症状の改善を認めたが、3肢では指の小切断を必要とした。全体の2年生存率は56%であった。 【結論】バスキュラーアクセスに伴う上肢重症虚血肢に対して適切な診断とDRILを中心とする血行再建術によりアクセスを温存しつつ、虚血症状を改善することが可能である。一方、患者の生命予後は不良であり、今後の検討が必要である。

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