演題情報

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開催回
第56回・2011年・横浜
 

手術器具の進歩~ブルドッグ型クランプ~

演題番号 : WS-7-2

小口 健一:1、浅野 学:1

1:池上総合病院腎臓医療センター

 

Vascular access手術に伴う侵襲を軽減する努力があるとすれば、評価されるであろうか? AVF作成においてその具現は創の縮小、動静脈吻合径の加減、加えて血管の愛護となろう。それぞれ美容上の、心機能への、さらには開存性への配慮を意図するものである。皮膚切開は1cmとし、動静脈吻合径は3ないし4mmにとどめ、血管の物理的損傷を極力回避する。我々は前腕の初回AVF作成に積極的にこの方針を適用し、機能的にも予後的にもあるいは手術時間についても、従来の方法と比較して遜色がないことを国内外で報告した。ワーキングスペースが制限されるにつれて、空間を占拠したり視野を遮蔽するものは何であれストレスとして過剰に意識されるようになる。ブルドッグ型クランプは血管吻合中の無血野を確保するために欠かすことができないが、その存在感ゆえに大きなストレスの対象である。あまつさえ規格品を用いる限りは、設定されたバネ圧と個々の血管のフィッティングが必ずしも適切に図れない。特に静脈に対しては明らかに過度の圧負荷を負わせる印象があり、被った組織の挫滅は将来の狭窄病変の懸念となる。このような背景から、阻血機能とハンドリング性を損なうことなく諸所に改良を加えた新しいクランプを求め、高砂医科工業株式会社の協力を得て開発に至った。ステンレス製のこのクランプは、30mm超の既製品とほぼ同等のjawを残しながら、長径27.2mm・短径7mmに収まっている。湾曲は汎用される弱湾とし、R 14.2 に固定した。バネ圧の設定は机上のシムレーションに沿って動脈中枢用(173.18g)、動脈末梢用(127.03g)、静脈用(75.28g)と用途を明確にし、それぞれに「H」「M」「L」と刻印した。同時にバネの耐久性も著しく向上させた。1年間の実地試用を通じて脱落、スリップ、あるいは血液リーク等の事例は皆無であり、期待した役割を十分に果たしえている。試作品は商品名テクノクランプとして今後市場に提供される予定である。このデバイスの詳細を紹介し、血管を用いた組織学的な検証によっても有益性を提言したい。理想的なクランプとはいかなるものか、ご意見を傾聴できれば幸いである。

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