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ワークショップ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

CKD患者における心血管合併症の危険因子である心筋重量指数(Left ventricular mass index: LVMI)と左房容積指数(Left atrium volume index: LAVi)の改善のために、『心エコー所見を活用する』

演題番号 : WS-6-5

井尾 浩章:1、古川 雅子:1、濱田 千江子:1、富野 康日己:1

1:順天堂大学 腎臓内科

 

【背景】心エコー所見による左房拡大は心・血管疾患死と関連し、心肥大はCKD患者の心血管合併症の発症に関連しているという報告がある。 【目的】透析導入患者のLVMIに関連する予測因子を解析することで、心血管合併症を予防する。【対象】 順天堂大学医学部附属順天堂医院腎・高血圧内科で透析導入され、その後も通院透析可能であった心血管合併症のない62名(血液透析:HD 30名、腹膜透析: PD 32名)および保存期腎不全入院患者930名を対象とした。 【方法】透析導入時(CKD stage 5D)から6ヵ月毎に心エコーを施行した(前向き縦断観察)。また保存期腎不全患者(CKD stage 1~5)においても、心エコー所見(後ろ向き横断、縦断観察)と臨床検査値の関連性を解析した。 【結果】HD患者のLVMIは、導入時161±40.2 g/m2、24ヵ月後には148±42.5 g/m2 であり有意な改善を認めなかった。LVMIと心房利尿ペプチド(ANP)、収縮期血圧(SBP)、ヘモグロビン(Hb)は有意に相関していた。SBP、血清アルブミン(Alb)、残腎機能は、HD導入時のLVMIの独立した危険因子であった。PD患者のLVMIは、導入時156±45.7 g/m2、24ヵ月後には129±30.4 g/m2 であり、有意な改善を認めた。ANPと左房径には、有意な相関がみられた(r=0.412、p<0.01)。保存期腎不全患者においては、SBP、Alb、左房容積指数(LAVi)は透析導入期間の独立した危険因子であった。CKDのstage進行とともにLVMIは有意に増加し、SBPとHbがLVMIの独立危険因子であった。縦断観察においても、SBP・Hbの変化率がLVMI変化率の独立した危険因子であった。 【結論】HD導入後のLVMIの改善は難しいが、PD導入後は厳格な体液量管理によりLVMIの改善を認めることから、透析導入前からの血圧管理・貧血改善・体液量の管理が重要であると思われた(Perit Dia Int , 2010、Seminars in Dialysis , 2010、Nephron , 2010) 。

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