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ワークショップ

開催回
第56回・2011年・横浜
 

循環器疾患を有する慢性腎臓病患者の血液透析導入遅延と予後改善に関与する因子の検討

演題番号 : WS-6-4

中村 敏子:1、吉原 史樹:1、河野 雄平:1

1:国立循環器病研究センター 高血圧腎臓科

 

【目的】慢性腎臓病(CKD)の臨床上の問題点は、末期腎不全への進展と循環器疾患(CVD)の発症である。一方、CVD患者の腎臓は既に障害されていることが多いことを我々は既に報告してきている。しかし、そのようなCVDを有するCKD患者が、必ずしも腎臓病専門医に定期的に通院しているとは限らない。CVDを有するCKD患者において、透析導入を遅延させる事は、患者のQOL改善につながる。欧米では、CKD患者の腎臓病専門医への受診の遅れが、透析導入後の予後に関連することが報告されている。そこで、国立循環器病研究センターにて、CVDを有するCKD患者の腎臓病専門医への通院状況と透析導入間での期間や導入後の予後について検討した。 【方法】1983年から2003年に当院で血液透析に導入された366名について、初診時・腎臓内科初診時・透析導入時の腎機能・内服薬、CVDの治療、心機能、2009年末の生命予後を検討した。初診から透析導入までの期間に関連する因子や導入後の生命予後に関連する因子を検討した。患者は透析導入前の腎臓内科通院歴が、6ヶ月以上のER群(194名)と未満のLR群(172名)に分類した。 【結果】2群間で年齢や性別に有意差はなかった。LR群ではCKDの原因として、糖尿病が多く慢性腎炎が少なかった。2群間で有するCVDには有意差がなかった。初診時・導入時の血清クレアチニン(Scr)には有意差がなかったが、腎臓内科初診時のScrはLR群で有意に高値であった。透析導入時の各種内服薬の使用やエリスロポエチン製剤の皮下注射もER群で多かった。初診から透析導入に至るまでの期間は、LR群で有意に短かった。初診から透析導入までの期間に関与する因子は、初診時年齢、初診時Scr、腎臓内科通院、各種内服薬の有無、エリスロポエチン製剤の有無であった。透析導入後の生命予後はER群で良好であり、関連した因子は年齢と腎臓内科への通院であった。 【結論】透析導入までに6ヵ月以上腎臓内科へ通院する事は、CVDを有するCKD患者の透析導入までの期間を延長し、導入後の生命予後を改善した。

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