演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

透析中止に関する問題点:医師の立場

演題番号 : SY-13-5

小松 康宏:1

1:聖路加国際病院 腎臓内科

 

末期腎不全に対する透析療法は技術的には標準的治療として確立している。また、透析療法が必要な患者は年齢、性別、社会経済的状況にかかわらず治療を保証されるという医療福祉制度が確立していることは我が国の社会的成熟を反映している。一方、透析療法を開始・中止する医学的・社会的基準に関して明確な基準を設けることは難しい。いったん開始した治療を中止できないならば、治療開始の基準が厳しくなりかねないし、患者の治療選択の権利(治療を中止する権利)を奪うことにもなる。こうした意味で、透析中止の選択は適切な透析療法を保証するために不可欠なものである。米国では米国腎臓学会(ASN)と腎臓専門医協会(RPA)が合同で透析開始・中止のガイドラインを作成しており、協働の意思決定、インフォームドコンセントないし拒否、一定期間の試験的な透析療法、などの提言を含んでいる。一方、本邦では透析開始・中止に関する統一基準はまだ確立していない。医師が透析中止を考慮する主な理由は(1)技術的に透析治療の継続が困難なとき(2)透析治療による患者の苦痛(身体的・精神的)が許容範囲を超える場合、であろう。透析開始や中止にあたっては患者・家族・担当医が十分に相談したうえで、協働で治療法を決定することが原則である。しかし、複数の合併症と認知症がある高齢透析患者は新たな課題を提起する。患者自身の価値観、希望を確認できないことがあるからである。技術的に可能で、患者に苦痛を与えないが、透析療法の継続が家族・介護者・医療スタッフに重大な負担となる場合もある。この場合に患者・介護者・透析スタッフの負担を最小限としつつ最善の医療・ケア提供を可能にする方法について、医療連携を含めて討論したい。

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