演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

要介護透析患者におけるファーマシューティカルケアの実践

演題番号 : SY-13-4

原田 清子:1、木野 恭子:2、須賀 優:2、北岡 建樹:2

1:望星病院 薬剤部、2:望星病院 内科

 

ファーマシューティカルケアとは、「患者のQOLを改善する明らかな結果をもたらすため、責任をもって薬物療法を提供すること」と定義される薬剤師の行動哲学である。適切な薬物療法を提供するためには、医師による正確な診断と的確な処方の作成、薬剤師による正確な調剤と適切な服薬指導が必須である。服薬指導では、服薬説明のみに停まることなく、服薬コンプライアンスの確認と効果および副作用のモニタリングを行い、得られた情報を医師にフィードバックして治療に反映させることが重要となる。このような医薬品適正使用サイクルのすべてに責任をもって関わり、より適切な薬物療法を提供することで、患者の病態やQOLの改善、満足度を向上させることが、ファーマシューティカルケアを実践することになる。  透析患者の治療は、効率の良い透析、適切な食事療法、病状に合わせた薬物療法の3つから成り立っているが、いずれも継続されなければ効果は得られないため、薬物療法においては服薬コンプライアンスが問題となる。要介護透析患者において服薬コンプライアンスを低下させる大きな原因は二つある。一つは透析患者の処方上の特徴で、合併症発症による多剤併用と透析日・非透析日で用法が異なる薬剤の存在により処方が煩雑となる点である。もう一つは服薬能力の低下で、身体的な機能障害による服薬困難と、理解力・記憶力低下による服薬困難がある。これらの原因が相俟って、服薬コンプライアンスの低下に陥るものと考えられる。  個々の症例により対策は異なるが、繰り返しの服薬指導と調剤方法の工夫(一包化、粉砕、簡易懸濁法など)、剤形の変更、薬袋の工夫、お薬カレンダーなどの活用があげられる。処方内容のスリム化や用法の簡素化が望まれる症例もあり、処方医に進言する場合もある。在宅で服薬管理が困難な症例には服薬支援体制を調整する必要もある。独居、認認介護などでは居宅介護サービスによる支援は不可欠である。  今後さらに高齢化が進行する中でファーマシューティカルケアを実践するには、医療職間に加え、サービス提供者も含めた介護職との情報共有および連携がより重要であると考える。

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