演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

要介護透析患者の栄養管理

演題番号 : SY-13-3

笠原 賀子:1

1:桐生大学医療保健学部栄養学科

 

要介護透析患者の多くは、三度の食事摂取だけでは十分な栄養量が確保できないため、非透析患者より血清アルブミン値が低く、栄養状態の悪化が認められる。これら低栄養状態(血清アルブミン値3.5g/dl未満)にある患者の生命予後は良好でないことから、要介護透析患者の栄養管理の基本は、患者の食べる意欲を引き出し、患者の求める食や生活のあり方に応えた食を実践して、患者のQOL(Quality of life)を高めることにある。言うまでもなく、無理のない、効果的な透析(至適透析)を受けていることが前提である。 また、要介護透析患者に関わる全ての医療職が、食の重要性を認識し、管理栄養士と連携して、患者の栄養状態を視野に入れた係わり方を意識することは必須の課題である。さらに、要介護透析患者の食生活を支え、治療継続の要となる食事づくりや介助に携わる家族の食事療法に対する理解を深め、家族が抱えるさまざまな問題に寄り添う配慮も必要である。以下に、要介護透析患者の栄養管理のポイントを示す。 ①栄養状態の評価:血清アルブミン値の低下や体重の減少が起こる前に、Mini Nutritional Assessment(MNA)やGeriatric Nutritional Risk Index(GNRI)などの簡便な評価ツールを用いて、管理栄養士による栄養スクリーニングを実施し、早期に栄養介入を図る。②個に応じた栄養管理:ガイドラインに基づいた栄養管理が困難で、食事の摂取量が不足した場合には、低リン・低カリウム血症が生じることもある。検査データを確認し、必要に応じて、たんぱく質、リン、カリウム、食塩などの制限を緩和する。患者の嗜好に合わせた食事や間食の工夫、栄養補助食品を有効に活用することも必要である。一方、要介護透析患者は脱水を起こしやすい傾向にあるが、体重増加率も考慮して、水分管理には十分に注意する。③食べる機能の回復:要介護透析患者の食欲を増進し、美味しく、楽しい食事摂取を促すには、丁寧な口腔ケアと食べる機能を回復するためのリハビリテーションが重要である。また、日常生活の障害や身体活動の低下により、廃用症候群を起こすことがあり、医療職間の連携を深めて、全身の機能回復に関連した食べる機能に関わるリスクを多面的、総合的に考慮することも必要である。

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