演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

透析患者における新型インフルエンザの現状と対策

演題番号 : SY-12-5

安藤 亮一:1

1:武蔵野赤十字病院 腎臓内科

 

腎不全は、インフルエンザのハイリスク群であり、透析施設は、集団で腎不全患者を治療することや通院透析を継続する必要があることより、インフルエンザの流行時には、特別の対策が必要である。 2009~2010年に世界的に流行した新型インフルエンザA(H1/N1)は、小児中心の流行であったこともあって、透析患者における流行は限定的であった。 東京都多摩地区における透析患者の新型インフルエンザA(H1N1)に関する調査では、2009年10月~2010年3月の6ヶ月間の感染率は1%あまりと予想よりも低率であった。今シーズンは12月より流行が始まり、1月に急増している。透析患者にも1月よりインフルエンザ罹患者が増加している。多摩地区では、作シーズンに続けて、今シーズンもインフルエンザ、インフルエンザワクチンの調査を、そして新たに肺炎球菌ワクチンの調査を行った。 透析室において、新型インフルエンザの蔓延を防ぐためには、発熱患者を早期に把握し、時間的・空間的に隔離して透析を施行することが必要である。ふだんからの患者への正しい知識の周知、体調管理や不調時の連絡体制の整備も重要となる。 また、健常人と同様に、透析患者においてもワクチン接種が予防には有効であり、透析施設でも流行期前(10~11月)に患者全員および医療スタッフ全員にワクチン接種を薦める必要がある。東京都多摩地区における検討では、昨シーズンは透析患者で81.74%、スタッフで86.78%と高いワクチン接種率が得られた。今シーズンは12月末現在、各々69.95%、78.59%である。さらに、免疫能の低下した透析患者では、インフルエンザと合併する細菌性肺炎が予後不良の原因となるので、肺炎球菌ワクチンの接種も考慮する必要がある。今シーズンの調査では、23.94%にとどまっている。 最後に、地域の透析施設、基幹医療施設、医師会、保健所などを含めた連携体制を構築することは、情報を共有するだけでなく、各施設の感染対策への意識を高めることや人や物の供給体制の維持、パンデミック時における役割分担をする上で不可欠と考えられる。 将来的には、トリ型の強毒の新型インフルエンザにも対応できるように、体制を整えておく必要がある。

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