演題情報

シンポジウム

開催回
第56回・2011年・横浜
 

透析患者におけるC型肝炎診療ガイドライン

演題番号 : SY-12-3

菊地 勘:1

1:東京女子医科大学 血液浄化療法科

 

透析患者のHCV抗体陽転化率は1.0人/100人・年(1.0%)、有病率は9.8%で、一般人口の新規感染率は1.78~5.38人/10万人・年(0.002~0.005%)、有病率は1.4~1.7%と比較し、透析患者は新規感染率・有病率ともに非常に高率であり、HCV感染のハイリスクグループである。 HCV感染透析患者では、肝生検で肝炎の活動性を認める場合でも、トランスアミナーゼ(AST・ALT)が腎機能正常者の基準値範囲内であることが多く、治療適応がないと考えられがちである。 透析患者でも、HCV抗体陽性患者はHCV抗体陰性患者と比較し、肝硬変・肝細胞癌の発症率が高く死亡率も高い。また、HCV感染腎移植患者は、腎移植後の慢性拒絶が高率となり、腎生着率が低下し、死亡率も増加する。したがって、長期生存が期待できる患者や腎移植を予定している患者は、抗ウイルス療法を施行すべきである。 これまで、透析患者でのC型肝炎治療に関するガイドラインはなく、治療適応や治療法が決まっていないことから、透析患者は肝臓専門医・透析専門医の双方から治療の機会を得られる機会が少なかった。現在、透析中のC型慢性肝炎患者に対するインターフェロン治療は約2%にとどまっており、多数例が無治療で経過している。治療を行う場合でも、腎機能正常者の標準治療である、ペグインターフェロン+リバビリン併用療法は、透析患者でのリバビリンの使用が禁忌であることから適応できない。また、インターフェロン単独療法を施行する場合でも、腎機能正常者の通常投与量では血中濃度が上昇することから減量が必要となる。 このような現状、日本透析医学会では、「透析患者におけるC型肝炎診療ガイドライン」を作成中であり、2011年に公開予定である。本シンポジウムでは、ガイドラインの中からインターフェロン療法の適応と治療を中心に解説する。本ガイドラインの普及により、透析患者がインターフェロン療法を受ける機会が増加することを期待する。

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